歯を支えている骨（歯槽骨）が溶けてなくなる原因

香川県高松市の噛み合わせ専門歯科医院　吉本歯科医院の吉本彰夫です。今回は歯を支えている「骨」についてお話させて頂きます。

吉本歯科医院では初診にお越し下さった患者様におたずねすることがあります。

「歯は何で支えられているかご存じですか？」

ええと・・・歯茎かな？ん？顎かな？と答えられる方もいらっしゃいます。

正解は「骨」なんですね。

上の写真のように肉眼では歯が見えているけれど、レントゲン写真を撮影してみると歯を支えている骨部分が溶けてなくなっていることはよくあります。

歯を支えているのは「骨」

歯は私たちの口の中でさまざまな機能を果たしています。食事を咀嚼するための重要な役割や、会話や笑顔をつくるための美容的な役割など、歯は私たちの生活に不可欠です。その大事な歯ですが肉眼では見えない部分があります。それが歯を支え、安定させている骨の組織なのです。

歯を支える骨組織は、私たちの体の中でも特に強度を求められる場所に位置しています。この骨組織は歯槽骨（しそうこつ）と呼ばれ、歯が生えている上下の顎骨に存在します。歯槽骨は、歯をしっかりと支え、咀嚼時の力を均等に分散させる役割を果たしています。

歯を支える骨組織は、通常、骨密度が高く、強度があります。しかし、歯周病などの問題がある場合、この骨組織が破壊される可能性があります。歯周病は歯茎や歯を支える骨に影響を与え、最終的には歯の失われや歯周組織の破壊につながる可能性があります。

歯周病以外にも、かみあわせ、外傷や骨粗鬆症などの要因によっても歯を支える骨組織が損傷を受ける可能性があります。そのため、私たち歯科医師は、患者様の口腔健康を維持し、歯周組織や骨組織の健康を保つことが重要です。歯を支える骨組織が十分に健康であれば、歯は適切に機能し、長期間にわたって口腔健康を維持することができます。

歯槽骨が溶ける原因

歯を支えている歯槽骨が溶ける原因はいくつかありますが、主なものには以下のようなものがあります。

原因①歯周病によるもの

歯周病: 歯周病は、歯垢や歯石が歯肉の炎症や感染を引き起こし、歯槽骨の破壊を招く可能性があります。炎症が慢性化すると、歯槽骨が徐々に溶けていきます。

原因②かみあわせ異常による過度の力

歯が不適切に咬合していると、歯槽骨に過度の圧力がかかります。時間の経過とともに、この圧力によって歯槽骨が溶けることがあります。

原因③歯の欠損によるもの

歯が抜けると、その周囲の歯槽骨に刺激がなくなります。その結果、歯槽骨が徐々に溶けてしまうことがあります。これは骨吸収と呼ばれます。

原因④骨粗鬆症によるもの

骨粗しょう症などの骨の疾患は、歯槽骨の溶解を促進する可能性があります。骨粗しょう症は、骨の密度が低下し、骨の中がスカスカの状態になってしまう症状です。この状態になってしまうと骨が脆くなり、骨折しやすくなります。通常、骨は体内のカルシウムやその他のミネラルで強化されていますが、骨粗しょう症では、骨の密度や質が低下し、骨が弱くなります。骨粗しょう症は、一般的に加齢や女性の更年期に関連しており、女性によく見られますが、男性も影響を受けることがあります。この状態は、運動不足、栄養不良、喫煙、過度のアルコール摂取、または遺伝的要因など、さまざまな要因によって引き起こされる可能性があります。骨粗しょう症の一般的な症状には、骨折、背中や腰の痛み、身長の低下、背中の丸まりなどがあります。骨粗しょう症の診断は、骨密度スキャンなどの検査によって行われます。

歯槽骨が溶けてなくなっていると診断を受けた場合

長期間、合わない痛い入れ歯を使い続けてこられた場合、歯を失った部分にブリッジ治療を受けられている場合など、気が付かないうちに歯を支えている骨が溶けてなくなっているケースや骨そのものが薄くなってきているケースもよくあります。歯を失った時、「入れ歯はどうしても嫌だ」と思われる方は多いのですが、その時にインプラントをしたいと思っても顎の骨がなくて、薄くなり過ぎてインプラントができないと診断される場合があります。歯周病は「歯を支えている骨」がなくなる病気です。支えている土台がなくなってしまえば土台に支えられていたあなたの歯はグラグラと揺れ始めそのうち抜けてしまいます。

どうぞ知って下さい。歯周病は骨の病気です。原因を突き止めることで無駄な治療をしなくてすみます。