捻挫して歩けるけど痛い!くじいた足首の腫れの対処法などを解説

日々の生活でふとした瞬間に足をひねったり、スポーツ中の予期せぬアクシデントで足首を痛めたりして、その後の対応に悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
「捻挫」の症状は一見軽く感じることもありますが、放置すると回復が遅れてしまうほか、同じ場所の捻挫を繰り返してしまうケースも。「早期にどのような対処をするか」でその後の回復に大きな影響を与えます。
今回は、捻挫の症状の概要や病院を受診すべきタイミングなど、「足首の捻挫かな」「くじいたかも…」と思った時に知っておきたい基本情報を解説します。

どうしよう?捻挫で痛いし「腫れている」



足首を強くひねってしまうことで起こる捻挫は、誰にでも起こりうる身近なケガの一つです。
日常生活を送る中で階段を踏み外したり、ちょっとした段差で足をくじいたり。「歩けるけれど痛い」「しかも腫れている」といった状況は、非常に多くの人が経験します。
腫れは痛みと共に、あるいは足をひねった直後に気づくことが多く、帰宅してから徐々に現れるケースも。
軽い痛みや腫れで「これくらいなら大丈夫」と放置してしまうと、症状が長引いてしまうことがあるので注意が必要です。また、関節の安定性が損なわれ、将来的に同じような捻挫を繰り返してしまうリスクにもつながります。
ここからは、足首をくじいて腫れている場合に知っておきたいポイントをまとめます。

捻挫で痛いってどんな状態?

捻挫とは、関節の主要な組織である靭帯が予期せぬ力によって損傷し、周辺の腱や軟骨といった組織も同時にダメージを受けることのあるケガの総称です。
関節が生理的に動かせる範囲を超えて無理な方向に曲がったり、ねじれたりすることで起こり、X線(レントゲン)は異常が見つかりません。
一般的な捻挫の症状としては、つらい痛みはもちろんのこと、患部の腫れ、熱感、そして血管が損傷することによる内出血などが挙げられます。
関節を動かせる範囲が狭くなったり(可動域制限)、特定の場所を押すと強い痛みを感じる圧痛などの症状が現れたりすることも。ひどい場合には体重をかけるのが困難になり、関節を動かせず歩けなくなることもあります。

捻挫は次のような時に起こります。
●スポーツ中の急な方向転換や着地の失敗
●不安定な場所での歩行や転倒
●ハイヒールなど不安定な靴での歩行
●交通事故などの強い外力

捻挫の種類

足首の捻挫を大きく分けると、足を内側に捻る「内反捻挫」と、外側に捻る「外反捻挫」があります。
「内反捻挫は」、日常生活で最も多く見られるタイプです。足関節の外側にある靭帯を損傷するもので、バスケットボールやサッカーといったスポーツ中の着地や、階段を歩いて上ったり下りたりする時、不整地を歩いている途中などに起こりやすくなります。
一方、比較的起こりにくいタイプの捻挫として「外反捻挫」があります。外反捻挫は足首を外側にひねってしまったときに起こるもので、足関節の内側にある靭帯を損傷します。
これらの一般的な足首の捻挫に加えて、「高位足関節捻挫」と呼ばれる捻挫もあります。足首の上の部分の靭帯を損傷し、スポーツで多く発生するほか回復に時間がかかる傾向にあります。

捻挫の重症度

捻挫の重症度は、靭帯の損傷の程度によって大きく3段階に分けられます。

・Ⅰ度(軽度): 靭帯が軽く傷ついた状態です。痛みや腫れは比較的軽く、日常生活に支障がない場合もあります。足を着いて歩けることが多く、治療期間は2〜3週間ほどです。 
・Ⅱ度(中等度): 靭帯の一部が断裂した状態です。痛みや腫れはⅠ度よりも強く、体重をかけるのが辛いこともあります。
・Ⅲ度(重度): 靭帯が完全に断裂した状態です。激しい痛みと腫れがあり、関節の不安定感が強く、体重をかけることが困難です。足をしっかり着いて歩けず、日常生活全般に支障をきたします。治療期間が3か月以上になることもあります。

「大丈夫かな?」と自己判断で無理に動かすと、症状の悪化する可能性があります。後から解説する応急処置と並行して、気になる症状があるときは受診を検討するようにしましょう。

捻挫で腫れている状態とは?

「ひねる」という無理な力が加わることで、足首の関節を支える靭帯や、その周囲の血管、筋肉、腱などの軟部組織が損傷します。損傷に対する体の自然な修復反応として、患部に炎症が引き起こされて腫れが生じます。
捻挫による組織の損傷により、局所の血管が傷つき、血液成分が外へと漏れ出します。以上のような現象から、皮膚表面に青紫色のアザとなって現れてくるのです。

さらに、炎症反応の中心的な役割を担うのが、様々な炎症物質の放出です。血管拡張や痛みなどの作用を引き起こし、腫れとともにつらい痛みを感じるようになります。
一般的に腫れの程度が大きいほど、靭帯や周囲組織の損傷も大きいという傾向が見られます。重度の捻挫では、広範囲にわたる靭帯断裂や出血が生じやすいため、顕著な腫れが見られることが多いです。
ただし、腫れの大きさは、損傷した周囲の血管や軟部組織の状態、個人の体質、受賞後の経過などによっても大きく左右されます。腫れの状態だけで自己判断することは危険ですので止めましょう。

腫れているときの応急処置「RICE」



捻挫で腫れているときの応急処置は、「R.I.C.E」と呼ばれる基本的な方法(安静・冷却・圧迫・挙上)が効果的です。

1. Rest(安静):患部を動かさないように安静に保ちます。椅子や床に足を置いて、患部に体重をかけないようにします。固定時はなるべく足首が90度になるように調整します。
2. Ice(冷却):氷嚢などで患部を冷やします(1回20分、1日に数回)。血管を収縮させることで、腫れや炎症、痛みを抑える効果が期待できます。氷嚢や氷をビニール袋に入れたものを、直接肌に当てず布などで包んで使いましょう。
3.Compression:(圧迫):包帯やテーピングで軽く圧迫すると、腫れが広がるのを防ぐことができます。ただし、強く圧迫しすぎて血流を妨げてしまわないように注意が必要です。
4.Elevation(挙上):心臓より高い位置に足を上げておくと、重力の作用で体液が患部に溜まりにくくなり、腫れや内出血の抑制に効果的です。足首の下にタオルなどを敷くと安定しやすく、姿勢が保ちやすいでしょう。座っているときも足を椅子や台の上に乗せるなど、できるだけ高い位置を保つように心がけます。

冷やすときのポイント
適切に冷やすためには、いくつかのポイントがあります。
1.氷嚢や氷を入れたビニール袋を使う
氷が肌に直接触れると、凍傷を引き起こす恐れがあります。氷は氷嚢などに入れて、直接肌に当てないようにして冷やしましょう。
氷嚢がない場合は、ビニール袋に氷と少量の水を入れ、空気を抜いて口をしっかり閉じることで代用できます。
2.冷却の時間
冷却は1回あたり15〜20分を目安に行い、その後外して皮膚の感覚が元に戻るまで休憩を挟みます。何度か繰り返すことでしっかり冷やせるため、効果的に炎症を抑えられます。
3.冷やし過ぎに注意
長時間冷やし過ぎると、逆に血流が極端に制限され、凍傷を引き起こす恐れがあるので注意しましょう。冷やしすぎを避けるため、タオルや布を患部に当てたり、氷嚢の大きさを変えたりして調節します。

病院を受診すべきかの判断
●痛みや腫れが2〜3日経っても引かない、あるいは広がっている
●内出血が広範囲に及び、色が濃くなっている
●熱感や脈打つような強い痛みが続く、夜も眠れないほどの痛みがある
このような症状が見られる場合は、整形外科での診察を受けるようにしましょう。詳しくは後述の「病院に行く目安?歩けないほど痛いか歩けるか?」で解説しています。

どうしよう?捻挫で痛いけど「腫れていない」



足首をくじいて「腫れていない」という場合でも、安心してしまうのは早計です。痛みが続く場合は注意しておく必要があります。

腫れがなくても痛みが続く理由

関節内では、わずかな組織の損傷に対しても修復反応として炎症が起こります。
特に関節の動きが多い部分や、負荷のかかりやすい部分に損傷が起こると、腫れがなくても炎症が持続しやすい傾向があります。
目に見えない範囲で靭帯に小さな損傷があると、慢性的な痛みに発展することも。放置すると関節の安定性が損なわれ、繰り返しの捻挫や、より重い損傷を引き起こす可能性があります。

自宅でできるケア

腫れていなくても痛みが続く場合は、無理に動かさないようにしましょう。
●痛みがあるうちは安静に。無理なストレッチや患部に力を加える動作は避けましょう。
●腫れていない場合でも、痛みのある部分を中心に氷嚢などで冷やしましょう。
●足を挙げて休むなど、腫れや炎症を予防する姿勢を意識します。
●痛みの程度が増してくる場合や、歩くのがさらに辛くなった場合、安静にしていても痛みが引かない場合などは、医療機関を受診しましょう。

腫れがなくても病院に行く?

腫れが見られなくても痛みが続くとき、関節内部の損傷が予想以上にひどくなっているケースがあります。特に以下の症状が見られる場合、早期の受診が必要です。
●痛みが1週間以上続く
●動かすと痛みが増す
●歩行が不安定になっている
痛みがある状態は「何かがおかしい」という体からのサインです。腫れていないからといって、回復が早いわけではありません。自己判断せずに慎重に対応するようにしましょう。

ひねって足首・くるぶしからグキッと音がした!捻挫と骨折の見分け方



足をひねった瞬間に「グキッ」と音がした…そんなとき、「これって本当に捻挫? それとも骨折?」と不安になる人は少なくありません。ここでは、一般的な見分け方の目安について紹介します。
※あくまで受診を検討するための目安です。少しでも気になる症状がある場合は、医師の診断を受けるようにしましょう。

捻挫に見られる症状

捻挫の場合、一般的に以下のような症状が見られることが多いです。
●受傷直後は軽い痛みでも、徐々に痛みが強くなることがあります
●患部を中心に腫れてきますが、関節の形が不自然になるような変形は見られません
●軽度から中度の捻挫であれば、痛みを伴いながらも体重をかけて歩けることがあります。

骨折に見られる症状

骨折の可能性がある場合、一般的に次のような症状が見られます。
●激しい痛みと変形:触れただけで激しい痛みが走る場合や、関節が明らかに変形している場合があります。
●自力での移動困難: 捻挫でも重症の場合には歩行が難しいことがありますが、骨折の場合、より完全に体重をかけることができないケースが多くなります。
●異常な音:受傷時に「バキッ」といった骨が折れるような音が聞こえた場合は、骨折の可能性があります。
●広範囲にわたる急速な腫れ:捻挫でも腫れや内出血は起こりますが、骨折の場合、より広範囲に、かつ急速に腫れや内出血が広がる傾向があります。
「捻挫かな」と思っても、受診して「骨折だった」と分かることもあります。気になる場合は自己判断せずに、整形外科を受診して医師の診断を受けることが大切です。

医療機関ではどんな検査をする?

骨折か捻挫かの最終的な診断は、医療機関における医師の診察や検査によって行われます。
●レントゲン検査(X線検査): 骨の状態を確認するために行われます。骨折の有無や骨のずれなどを確認することができます。
●エコー検査(超音波検査): 靭帯や筋肉といった組織の状態を確認するために行われます。レントゲンには写らない靭帯の損傷程度などを評価することができます。

検査の結果、靭帯が断裂していることも少なくありません。靭帯断裂が見逃されると、その後に捻挫を繰り返したり、スポーツをすると痛くなったり、数年後に関節の変形を来したりします。
「捻挫が癖になっている」というのは間違いで「靭帯が切れたままになっているために関節が不安定になっている」のです。 
引用元:日本臨床整形外科学会「足関節の捻挫と靱帯断裂」

骨折を疑うケースではもちろんですが、「捻挫かな」と思ったときも「いつもの痛み」「少しひねっただけ」と軽く考えず、正確な診断と治療を受けるようにしましょう。

病院に行く目安は?歩けないほど痛いか歩けるか?



足をひねったあと、痛みがあっても歩けるからといって「大丈夫」と考えるのは早計です。靭帯に微細な損傷がある場合には、歩けていても内部で炎症や腫れが進行しているケースがあります。

次のような症状がある場合は、自己判断せずに整形外科の受診を検討しましょう。
●徐々に違和感が増している
●翌日になって痛みが強まった
●痛みや腫れが広がっている
●同じ場所を繰り返し捻挫している

特に、次のような症状が見られる場合は、早めの受診を検討しましょう。
●歩けないほどの激しい痛み
●足首が変形している、明らかに腫れている
●内出血が広範囲に見られる
●捻った直後から腫れが急激に広がってきた
●体重をかけると激痛が走る

整形外科で行われる治療

整形外科では、捻挫の重症度や症状に合わせて適切な治療が行われます。

代表的な治療法は保存療法で、手術を行わずに回復を促します。主に以下のような方法が用いられます。
1.固定::損傷した靭帯や関節を安静に保ちます。固定具には包帯、テーピング、サポーター、ギプスなどがあり、損傷の程度や部位によって使い分けます。
2.運動療法(リハビリテーション): 痛みが軽減してきたら、関節の可動域を広げたり、筋力を回復させたりするための運動療法を開始します。専門の理学療法士などの指導のもと、段階的に行われます。

なお、捻挫は再発しやすいケガの一つです。再発を防ぐためには、適切な運動療法が非常に大切です。運動療法では理学療法士などの指導のもと、次のようなことを行います。
可動域訓練:関節の動きをスムーズにするためのストレッチなどを行います。
●筋力トレーニング: 関節を支える筋肉を強化することで、安定性を高めます。
●バランス訓練:バランス感覚を養うことで、再び捻挫を起こしにくい体を作ります。
●日常生活やスポーツ動作の指導:正しい体の使い方やフォームを学ぶことで、関節への負担を減らします。

保存療法で十分な効果が得られない場合や、早期のスポーツ競技への復帰を強く希望する場合には、手術療法が検討されます。
手術の方法は、損傷した靭帯の種類や程度、患者さんの状態によって異なりますが、早期の機能回復と再発予防のためには綿密なリハビリテーションが欠かせません。医師や理学療法士の指導のもと、段階的に治療を進めていくことが重要です。

市販の湿布やサポーターだけでは不十分?

ドラッグストアなどで手軽に購入できる湿布やサポーターは、捻挫の初期の応急処置として、痛みや腫れの緩和を助けることがあります。
しかし、自己判断だけで済ませると治療が遅れてしまうことがあります。痛みや腫れが強い場合や、数日たっても改善しない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
※詳しくは「3日?何日?湿布やマッサージは?捻挫を早く治す方法」で解説しています。

捻挫の重症度をセルフチェック



捻挫の重症度をセルフチェックすることで、受診の一定の目安になります。以下のチェック項目を参考にしてみましょう。

チェック1:痛みの度合い

●歩いたり軽く走ったりできる:軽度
●痛みで走れない:中度〜重度
●痛みで歩けない、動かせない:重度
チェック2:腫れの広がり
●腫れていない、もしくは局所的:軽度
●くるぶし付近の腫れと圧痛:中度〜重度
●くるぶしや足首全体の腫れ:重度
チェック3:内出血・変色の有無
●あまり気にならない:軽度
●青紫の内出血が目立つ:中度〜重度
●広範囲の内出血:重度
チェック4:関節の動き
●関節にゆるみや制限がない:軽度
●ゆるみや制限がみられる:中度
●中度の症状が悪化し、動かすのが困難:重度

セルフチェックはあくまで目安であり、正確な診断は医療機関での検査が必要です。ご自身の状態を把握し、必要に応じて医療機関を受診してください。

捻挫でも仕事休めない…立ち仕事はいつからOK?



仕事や家事を抱えていると、足首を捻挫してもなかなか休めず、動かなければならない状況は少なくありません。特に立ち仕事や動き回る業務の場合、「いつからなら無理なく働けるの?」と不安に感じている人も多いでしょう。
しかし、焦って復帰すると症状が悪化し、回復が遅れるだけでなく再発のリスクも高まります。立ち仕事への復帰時期の目安と、無理なく働くための具体的なヒントを解説します。

無理して働くと悪化の原因に

軽い捻挫でも、痛みがある状態で立ち仕事を続けると炎症が悪化したり、回復期間が延びたりする可能性があります。痛みを感じるときは、
●できるだけ体重をかけない
●サポーターやテーピングで関節を固定
●こまめに休憩をとり、足を休めて冷やす
などの工夫をしましょう。
立ち仕事への復帰時期は、捻挫の重症度、痛みの程度、腫れの引き具合、そして仕事内容によって大きく異なります。重度の捻挫では、数週間以上の安静が必要となることも。自己判断で復帰するのではなく、医師の診断を仰ぐことが大切です。

出勤前にできる捻挫のチェックリスト

●起床時の痛みが前日よりも増していないか?
●足を床についたときに痛みがないか?
●軽い歩行や階段の上り下りで、足首に不安定感や強い痛みがないか?
●腫れが再び悪化していないか?
不安があれば無理をせず休むことも選択肢のひとつです。可能であれば、休憩用の椅子を用意してもらうなど、職場環境を変えてみることも方法の一つでしょう。

3日?何日?湿布やマッサージは?捻挫を早く治す方法



捻挫をしてしまうと、「何日くらいで治るの?」「湿布はいつまで貼る?」「マッサージやストレッチは効果があるの?」といった疑問がわいてきます。
ここでは、捻挫からの回復期間や、湿布・マッサージの注意点などについて解説します。

捻挫は何日くらいで治るケースが多いの?

捻挫の回復期間は、一般的に損傷の程度によって次のように分けられます。
軽度捻挫(Ⅰ度): 通常3日~1週間程度で落ち着き、日常生活に支障がなくなることが多いです。完全に元の状態に戻るには、さらに数週間かかることもあります。
中度捻挫(Ⅱ度): 靭帯の一部が断裂した状態で、2週間~4週間程度で症状が改善することが多いです。完全な靭帯修復には、より時間がかかると言われています。
重度捻挫(Ⅲ度): 靭帯が完全に断裂した状態です。激しい痛みと腫れがあり、関節の不安定感も伴います。治癒には1ヶ月~数ヶ月以上かかることもあり、場合によっては手術が必要となることもあります。リハビリテーションも長期にわたります。

1度の軽症でも、まずRICE療法を行います。その後、テーピングなどの簡単な固定材料を使用して、2週間以内で復帰は可能です。
2度の場合は、ギプス固定が必要でしょう。
3度となると、損傷部位によっては、確実な安定性を確保するために靱帯縫合手術や靱帯再建手術が考慮されます。
引用元:日本臨床整形外科学会「【誤った知識】捻挫くらいは、たいしたことではない」

見た目には軽そうでも、実際には靭帯に深いダメージが与えられているケースもあります。「腫れが引かない」「痛みが強くて歩けない」といった場合は、自己判断せず整形外科などで診察を受けることが大切です。

湿布やマッサージ・ストレッチはやったほうがいい?

捻挫直後(特に48〜72時間以内)は、まずはきちんとアイシング(冷却)の処置をすることが基本です。この時期に無理にマッサージやストレッチを行うと、かえって炎症を悪化させたり、回復を遅らせる原因になることもあります。
「湿布やマッサージ・ストレッチをしたい」というときには、いくつかの注意点があります。
湿布
湿布はあくまで症状を緩和するための補助的な役割を果たすものです。市販されている主な湿布には、冷感タイプと温感タイプがありますが、患部の炎症や熱感をしっかり抑えたい場合にはRICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)が基本です。
整形外科で処方される痛みや腫れを抑える目的の湿布には、消炎鎮痛効果のある薬剤が含まれています。症状に応じて使用することで適切な治療が期待できますが、薬剤によっては肌に刺激を感じたり、かぶれを起こしたりする場合もあります。
使用中に異常を感じた場合は医師に相談しましょう。肌が敏感な方や過去に湿布でかぶれた経験がある方は、あらかじめその旨を伝えておくと安心です。
マッサージ・ストレッチ
捻挫をした後のマッサージやストレッチについては、回復の段階に応じて慎重に行う必要があります。捻挫直後は炎症が起きている状態のため、無理に患部を動かすことで症状の悪化する恐れがあります。まずは安静にして腫れや痛みを抑えることが最優先です。
痛みや腫れが落ち着いて回復期に入ったら、関節の柔軟性や筋力の低下を防ぐための軽いストレッチやリハビリが効果的になります。ただし、このタイミングや内容については、理学療法士の指導を受けて行うのが安全です。
一般的な例としては、次のような内容で指導が行われます。
急性期(受傷直後〜数日):炎症と痛みを抑えることが主な目的です。RICE処置を徹底し、無理に動かさないようにします。
回復期(痛みや腫れが軽減してきた時期): 関節の可動域を取り戻し、徐々に筋力回復を目指します。座った状態で足首をゆっくりと上下、内外などに動かす運動から始めましょう。痛みを感じない範囲で行います。
スポーツ復帰期(日常生活に支障がなくなり、スポーツ復帰を目指す時期): 筋力強化に加えて、バランス感覚を取り戻すトレーニングを行います。片足立ちなどの練習は、足首の安定性を高めるのに役立ちます。

捻挫を繰り返さないために

捻挫を繰り返さないためには、日頃からの予防策が重要です。運動前には、念入りなウォーミングアップとストレッチを行い、関節や筋肉を十分に温めて柔軟性を高めましょう。特に、アキレス腱や足首周りのストレッチは念入りに行いましょう。
専門家の指導のもと、足首を保護するためのサポーターやテーピングを適切に使用することも有効です。サポーターは関節を安定させ、テーピングは動きを制限することで、捻挫のリスクを軽減できます。
また、体幹の安定性は足首への負担を軽減し、捻挫の予防に繋がります。日頃から体幹トレーニングを取り入れることも有効です。

まとめ

足首の捻挫は、「歩けるから大丈夫」と自己判断せず、痛みや腫れなどの状態をしっかり観察し、気になる症状があるときは受診を検討することが大切です。
特に、
●腫れがひどい
●歩けないほど痛い
●違和感が増している
などの場合は、骨折や重度の靭帯損傷の可能性もあるため、整形外科の診察を検討しましょう。


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