突き指とは?腫れてないけど曲げると痛い?病院に行く目安と自分でできる対処法

突き指は、日常生活やスポーツ中のちょっとした動作で起こりうる身近なケガです。指にボールが当たったり階段で転んだりして、「腫れていないけど曲げると痛い」「病院に行く目安がわからない」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
「これくらいなら大丈夫」と軽く考えられがちな突き指ですが、自己判断による誤った対処法や応急処置は症状を悪化させかねません。見た目に大きな変化がなくても、指の内部では骨や靭帯などの大切な部分が傷ついている可能性があります。
今回は、突き指の症状をチェックする方法や病院に行く目安、一般的な突き指と骨折との見分け方や「やってはいけないこと」などを解説します。

※この記事の目的は基本的な健康情報の提供であり、医師の診断や治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、必ず病院などの医療機関を受診してください。

突き指の症状をチェック!



「腫れていないのに曲げると痛い」…それは突き指のサインかもしれません。
「大したことないだろう」と思われがちな突き指ですが、骨折などの思わぬケガが隠されていることもあります。まずは自分の指の状態と、一般的な突き指の症状をチェックしてみましょう。

腫れてないけど曲げると痛い?突き指の症状とは

突き指とは、指を突き出した形で衝撃を受け、痛みや腫れなどが生じるケガのことです。

「突き指」は、その名の通りボールや物で指を突いて、指先に大きな力が加わることによって起こる指のけがの総称として広く一般的に用いられています。
指の腫れや痛み、動かしにくさなどの症状がありますが、放っておけばそのうち治ると軽く考えられがちです。
しかし「突き指」には、骨折や脱臼、腱や靭帯の断裂などが含まれており、中にはすぐに手術が必要なこともあります。
引用:日本整形外科学会 症状・病気をしらべる「突き指」

突き指は、ケガのひどさによって様々な症状が現れます。突き指の直後は「曲げると痛いだけだから大丈夫」と感じていても、時間がたつにつれて腫れや内出血が進み、痛みが強くなることもあるので注意が必要です。
例えば、指先にボールが強く当たって大きな力が加わると、じんわりとした痛みを感じるときがあります。「大丈夫だろう」と日常生活を続けているうちに痛みや腫れが強くなり、場合によっては動かせなくなることも。特に受傷後1〜2日は変化を見逃さないよう、指の状態をよく見るようにしましょう。

一般的な突き指の症状としては、次のようなものがあります。
・腫れていなくても指を動かすと痛い:指を曲げたり伸ばしたりすると、ある動きのときに痛みを感じることがあります。さらに強く握ったり反らしたりすると、より強い痛みを感じます。
・安静にしていても指の関節が痛む:じっと座っていても指の関節が痛くなることがあります。特にケガの直後には、ズキズキとした痛みを感じることもあります。
・力を入れると痛い:何かを持ったり押したりしたときに痛みが出ます。グッと力を入れた時だけ痛むこともあります。

指の動きがにぶい、動かしにくい:指が思うように動かせなくなります。ゆっくり動かそうとしても、動かせる範囲が狭くなることもあります。
色の変化や腫れがある:指が紫色になったり関節の周囲が腫れたりします。

突き指の痛みの症状は、必ずしも「腫れている」「紫になった」という見た目の症状と同時に起こるとは限りません。特に、関節の内部がほんの少しだけ傷ついているような場合は、見た目の変化が少ないこともあります。
「突き指したけど腫れてないから大丈夫」と自己判断してしまうと、深刻なケガを見逃すことにつながりかねません。痛みや違和感などの症状が続く場合は、できるだけ動かさず、早めに病院などの医療機関を受診しましょう。
特に子どもは成長中の軟らかい骨が傷つきやすく、高齢者は小さな衝撃でも骨折しやすくなっている傾向があります。症状が軽く見えても受診し、正確な診断を受けることが安心につながります。

突き指を疑うときに病院に行く目安



突き指をしたときに「この程度で病院に行っていいのかな?」と迷う方は多いのではないでしょうか。
突き指の中には、骨折・脱臼・腱や靭帯の断裂といった深刻なケガが隠れているケースがあります。このような場合に自己判断で病院に行かず放置してしまうと、症状が悪化したり回復が遅れたりということにつながりかねません。

「突き指かな?」と思ったときにクリニックや病院に行く目安は、次のようなケースです。
・痛みが非常に強く、指を動かせない:指を動かそうとすると我慢できないほど痛むときは、骨折などの大きなケガが隠れている可能性があります。
・指が不自然な方向に曲がっている、変形している:指がいつもと違う形になっている状態も、骨折などを疑うサインです。
・腫れがどんどんひどくなっている:腫れが強くなったり急速に広がってくる場合は、指の中で大きく出血している可能性があります。「関節を動かしにくい」と感じる場合は特に注意が必要です。
・指がしびれていたり、冷たく感じる:神経や血管に負担がかかってしまうと、痛みとは少し違ったサインが現れることがあります。
・ケガをしたときに「ポキッ」という音がした:骨が折れた音や、靭帯が切れた音である可能性があります。
・安静にしていても痛みが数時間以上続く:冷却や固定といった応急処置をしても痛みが引かない場合は、病院などで診察してもらうほうが安心です。
・日常生活に支障がある:痛みや腫れが軽くても、日常生活でさまざまな作業がうまくできなくなることもあります。
以上のような症状は、専門的な治療が必要となっているサインかもしれません。病院などの医療機関で診察を受けることで、適切な検査・診断と処置をしてもらうようにしましょう。

受診時には、次のような情報を伝えるとスムーズに診断してもらえます。
・ケガをした日時
・ケガをしたときの状況(ボールが当たった・転倒した など)
・受傷直後から現在までの症状の変化(腫れた・痛みが強くなった・指が動かせない など)
・自宅で行った応急処置(湿布・冷却・テーピング など)
病院で診てもらう前に、指を無理に動かしたり温めたりするのはNGです。
応急的な固定や冷却はしても良いですが、自己流の処置は控えるようにしましょう。

突き指をしたときにやってはいけないこと

突き指と骨折の一般的な見分け方



突き指と骨折はどちらも指が痛くなりますが、内部の症状は全く異なるため、見た目だけで簡単に判断することはできません。
ただ、いくつかの一般的な見分け方の目安を知っておくと、受診を迷った場合のヒントとなります。

【突き指】

・痛み:少し~中くらいの痛み。動かすと痛いが、じっとしていると少し楽になることが多い。
・腫れ:軽い腫れがある。時間とともに徐々に引いていく。
・指の形:通常、あまり指の形は変わらない。関節周囲の腫れにより、少し太く見えることがある。
・あざ・内出血:紫や青など色の変化があることがある。
・動かせるか:ゆっくりであれば少し動かせる。

【骨折】

・痛み:とても強く、何もしなくてもズキズキする。時間が経つほど強くなることがある。
・腫れ:広い場所が大きく腫れる。時間とともにどんどん腫れてくる。
・指の形:明らかに普段とは違う方向に曲がっている。骨の部分がグラグラする。
・あざ・内出血:広い範囲が紫になったり内出血のようなものが見られたりする。
・動かせるか:強い痛みでほとんど動かせない。無理に動かすととても痛い。

この突き指と骨折の見分け方は、あくまでも一つの目安にすぎません。痛みの程度や腫れの大きさ、見た目の変化だけで、突き指か骨折かを自分で正確に判断することは非常に難しいのが実際のところです。
症状の出方は個人差が大きく、小さな部分のケガはレントゲンや超音波検査をしなければ見つからないこともあります。
「骨は折れてなさそうだから大丈夫」「突き指に違いない」と自己判断で決めつけず、少しでも不安なときは整形外科のある医療機関で専門的な検査を受けるようにしましょう。

突き指の対処法!自分で早く治す方法はある?



突き指をした直後の対処法は、その後の経過に大きな影響を与えることがあります。正しい応急処置をすることで、つらい痛みを抑えたり、早期に回復することが期待できます。
突き指をした直後や、病院などの医療機関に行く前に自分でできる応急処置をまとめます。

1.RICE処置をする

突き指をしたら、まずはRICE(ライス)という4つの応急処置をしましょう。これはスポーツなどでケガをしたときに使われる基本の対処法で、4つの英単語の頭文字からできています。
このRICE処置を適切に行うことで、痛みや腫れをできるだけ抑え、その後の回復を早める効果が期待できます。

R(Rest / 安静):

痛みのある指をできるだけ動かさず、安静に保つようにしましょう。無理に動かすと、指の中でケガをしている部分がさらに傷ついたり、痛みが悪化したりする可能性があります。
応急的にテーピングや副木(添え木)などで軽く固定することで、余計な動きを防ぎ、患部を保護できます。指の動きを制限することが大切ですが、固定はあくまでも軽めにし、強く縛りすぎないようにしましょう。

I(Ice / 冷却):

冷却は、突き指による炎症や腫れを落ち着かせるための基本的な対処法のひとつです。患部を冷やすことで、突き指による腫れや痛みの悪化を防ぐ手助けになります。
氷のうや氷を入れたビニール袋を使い、患部を1回につき15~20分程度冷却します。直接肌に当てると凍傷になるおそれがあるため、タオルで包んで使うことがポイントです。冷却は受傷後48時間以内を目安に、1日に数回行うと効果的です。

C(Compression / 圧迫):

包帯やテーピングで患部を軽く圧迫します。これは、腫れが広がるのを防ぐための処置です。ただし、あまり強く巻きすぎると血行が悪くなり、しびれや冷感の原因になるので注意が必要です。
巻いた後に違和感がある場合は、すぐに外して緩く巻き直すか、しばらく様子を見るようにしましょう。

E(Elevation / 挙上):

患部を心臓よりも高い位置に挙げておきましょう。重力の働きで指への血流を減らし、腫れの広がりを防ぐことが期待できます。
横になっているときや座っているときに、クッションやタオルの上に指を乗せるようにすると無理なく姿勢を保てます。できるだけリラックスできる体勢をとりながら、患部を高く保つことがポイントです。
以上のRICE処置は、突き指をはじめとした打撲や捻挫などのケガに対して効果的な応急処置として知られています。
ただし、いつまでも痛みが引かない、腫れが強くなる、指が曲がらない・変形しているなどの症状がある場合は、できるだけ早く整形外科のある病院やクリニックを受診しましょう。早めの判断と適切な処置が、回復を大きく左右します。

2.テーピングを巻く

突き指をしたときは、患部の指をできるだけ動かさず、安静に保つことが大切です。無理に動かすとケガに負担がかかり、痛みや腫れが悪化する恐れがあります。
安静を保つ手段の一つに、テーピングを使って指を軽く固定する方法があります。患部が動かないようにして負担を防ぐのが目的で、日常生活の中で指を守るための対策として役立ちます。
突き指の応急処置として、隣り合った指を添え木のように使って固定する「バディテーピング」という巻き方があります。手順は次のとおりです。

・1.伸縮性のあるテーピングを用意する(ドラッグストアなどで販売しています)
・2.隣の指を添え木に見立て、上下2か所で固定する
・3.指を強く締め過ぎていないか、指先の色やしびれの有無を確認する

また、指同士がこすれて違和感があるときには、指の間にガーゼや薄い布を挟んでおくと快適です。テープによる皮膚のかぶれやムレを防ぐためにも、長時間同じ状態にしておくことは避け、時々はずして肌の状態を確認するようにしましょう。
このバディテーピングは、突き指の直後に一時的に指の動きを制限し、安静を保つための応急処置です。痛みが治まった後も必要以上にテーピングを続けていると、かえって回復を遅らせてしまうことになりかねません。
自己判断で長期間テーピングを続けるのではなく、症状に応じて使用のタイミングを見直すことが大切です。
また、指に強い腫れや痛みがある場合や明らかな変形が見られる場合には、テーピングなどの応急対応だけでは十分ではない可能性があります。突き指のように見えていても、実際には骨折や靭帯をケガしているというケースもあるため、早めに整形外科のある医療機関を受診することが大切です。

3.整形外科を受診する



軽い突き指であれば、自宅でRICE処置をすることで「症状が落ち着いてきたかも」と感じることは多いのではないでしょうか。腫れがなく痛みもほとんど感じられなくなった場合には、受診せずに自宅で様子を見るという選択肢もあります。
ただし、次のように気になる症状が続く場合は、迷わず整形外科のある病院やクリニックを受診しましょう。

・いつまでも痛みが引かないとき
・腫れがどんどん強くなるとき
・関節がうまく曲げられないとき
・指の色の変化が激しいとき

突き指をしたときにまず受診するべき診療科は、整形外科です。整形外科は、骨・関節・筋肉・靭帯といった部分の異常を専門に扱う科で、突き指のようなケガの診断と治療が受けられます。
整形外科のある病院やクリニックでは、次のような検査や処置が受けられます。

・レントゲン検査(X線):
骨折の有無や関節のズレなどを確認できます。
・エコー検査(超音波): 靭帯や腱、関節内の出血など、レントゲンでは写らない部分の状態をチェックできます。
・診察・触診: 医師による指の動きや痛みの程度のチェックがあります。
・固定処置: 必要に応じて、テーピングやギプスによる固定をします。
・リハビリテーション: 回復を早めるための運動療法やストレッチ指導などを行います。

整形外科での適切な検査と診断により、突き指だと思っていたものが実は骨折や靭帯のケガだったというケースも珍しくありません。特に成長期の子どもや高齢者では、小さな外傷が大きな障害につながることもあります。
突き指を軽く考えて放置すると、関節を動かしにくくなったり、慢性的な痛みや変形といった後遺症が残ってしまう可能性もあります。
「たかが突き指」と軽視せず、少しでも不安があるときには、病院などの医療機関で正しい診断を受けることが早期回復と安心につながります。

応急処置で突き指に湿布するのは有効?



突き指をしたとき、「とりあえず湿布を貼ろう」と思う人は多いかもしれません。確かに、湿布の中には痛みを和らげるタイプの商品があり、突き指の応急処置として湿布は有効な選択肢の一つです。
ただし、湿布を貼るだけで安心して指を動かしたり無理をしたりすると、かえってケガがひどくなることがあります。湿布はあくまで補助的な役割であると考え、「冷やす・安静にする」などの基本的な応急処置(RICE処置)をきちんと行うようにしましょう。
湿布を使うときは、次の点に注意が必要です。

・痛みや腫れが強いときに温湿布を使わない(受傷後48時間以内は冷却を優先する)
・肌に異常が出た場合はすぐに使用を中止する
・RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)を基本に行い、湿布は補助的に使用する


湿布で痛みが一時的に和らいでも、腫れや痛みが長引く場合や、関節が動かしにくい、変形しているなどの症状があるときは、できるだけ早く整形外科を受診しましょう。湿布をすることで隠れてしまう症状もあるため、過信は禁物です。

突き指をしたときにやってはいけないこと



突き指をした際、正しい対処ができていないと回復が遅れたり、後遺症が残ったりするリスクがあります。良かれと思ってしてしまいがちな次のような行動は避けるべきです。突き指で「やってはいけないこと」をしないよう、チェックしておきましょう。
■指を引っ張る:
「突き指をしたら指を引っ張ると良い」というのは、昔からある誤った考え方です。科学的根拠はなく、引っ張ることで症状を悪化させてしまう危険があります。
関節のズレが悪化したり、靭帯や腱をさらに傷つけてしまう可能性もありますので、自分で指を引っ張るような行為は止めましょう。
■すぐに温める:
ケガをした直後に指を温めると、血行が良くなることで炎症が強くなったり、腫れがひどくなったりする可能性があります。症状が落ち着くまでは、お風呂に入ったりカイロなどで温めたりするのは避けておくのが安全です。
少なくともケガをしてから最初の24〜48時間は冷やすことを優先し、温めるのは症状が落ち着いてからにしましょう。
■無理に動かす・マッサージする:
「突き指は動かした方が早く治る」と考える人もいますが、それは症状が落ち着いてリハビリできる段階まで回復した後の話です。
激しい痛みがあるのに無理に指を動かすと、傷ついた部分にさらなるダメージを与えてしまいます。また、マッサージやストレッチも自己判断で行うと、かえって状態を悪くしてしまうことがあります。

まとめ

突き指は、誰もが経験する可能性のある身近なケガです。腫れがなくても指を曲げると痛いときは、指の内部で何らかの異常が生じているのかもしれません。もし「突き指をしたかな?」と思ったら、まずはRICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)で適切な応急処置を行いましょう。
痛みが激しい場合や腫れがひどい場合、また症状が長引く場合は、速やかに整形外科のある病院などの医療機関を受診することが大切です。指を引っ張ったり、温めたりするような誤った対処法は避けてください。正しい知識と適切な対処で、大切な指の健康を守りましょう。




あなぶきヘルスケア
事業部長 喜田 康生
平成17年にプランドゥ穴吹に入社。その後、地域の医療介護検索サイト「病院・介護ナビmilmil」を立ち上げ、サイト営業で多数の病院、クリニック、介護施設などを訪問。
現在はあなぶきヘルスケアにて、広告コンサルティングを通じ、ブランディングなど幅広い視点から医療介護業界をサポート。

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