【寝汗の原因】なぜ?寝汗をかく理由と対策!受診の目安とは
寝苦しい夜、大量の寝汗で目が覚めることはありませんか?
寝汗の原因は、生活習慣や寝室の環境、さらには加齢による体の変化など、さまざまなタイプがあります。また、時には寝汗が病気のサインとして現れることも。
この記事では、寝汗をかく原因や自分でできる対策、医療機関を受診する目安について分かりやすく解説します。
寝汗の対策をしても改善されない場合や、次のような症状があるときは、一度かかりつけ医への受診を検討してください。
●急に寝汗が続くようになった
●大量の寝汗をかいている
●寝汗のほかに症状がある
汗は健康のバロメーターともいわれています。寝汗の理由と対策をチェックして、ぜひ快適な睡眠につなげてください。
※この記事の目的は基本的な健康情報の提供であり、医師の診断や治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、必ず病院などの医療機関を受診してください。
寝汗の原因とは?
寝汗の原因は一つとは限らず、生活習慣や環境、年齢、病気などさまざまな理由で起こります。
何らかの理由で体温が上がると、脳にある体温を調節する部分が「熱すぎるのは体に負担がかかるから冷やそう」と判断し、皮膚にある汗腺(汗を出す部分)に命令を出すのです。
ただ、いつもと違う次のような寝汗の状態に、驚いた経験がある人は多いのではないでしょうか。
●寝汗で目が覚めてしまう
●寝ている間にびっしょり汗をかいていた
●寝起きに汗だくになっている
生活習慣の乱れが原因なのか、それとも体の不調によるものなのか。寝汗の主な原因について、一つずつチェックしてみましょう。
原因1.生活習慣と寝室の環境
寝汗の原因の多くは、食事などの生活習慣や眠っているときの寝室の環境に関係しています。
飲酒や刺激物は寝汗の原因に
寝る直前に飲酒したり体の中を刺激するものを食べたりすると、体温が上がって寝汗の原因になることがあります。
【アルコール】
通常、私たちの体温は眠る直前に少しずつ下がっていきます。体温の低下が、眠気を誘うという大切な役割を果たしているからです。
しかし、アルコールが含まれるお酒・ワイン・ビールなどの飲み物を飲むと、血管が広がって体がぽかぽかしたように感じます。
体は温度を一定に保つために、体温を下げようとして皮膚から汗を出すように命令します。これがお酒を飲んだ後に寝汗をかきやすくなる原因です。
寝汗を防ぐためには、就寝前のアルコールを控えることが一番の対策です。飲酒する場合でも少量にとどめ、寝る2〜3時間前までには飲み終えるようにしましょう。
なお、寝汗やトイレの回数が気になるからといって、飲酒後に水分を控えるのはNGです。
脱水症状や二日酔いを防ぐには、こまめに水分を摂って、失われた体の水分を積極的に補う必要があります。
※参照:アルコール健康医学協会「飲酒の基礎知識」
【カフェイン】
通常、私たちの心拍数や体温は、眠りにつく前に少しずつ下がっていきます。
しかし、コーヒーや紅茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインには、体を刺激して活発にする働きがあります。
摂る量や個人差にもよりますが、カフェインを摂りすぎると心拍数や血圧が上がり、眠る前に体が活動モードになる場合があります。その結果、体温が十分に下がらなくなってしまうのです。
カフェインの影響は、摂取してから数時間続くとされています。夕方以降の飲み物は、体をリラックスさせてくれるようなノンカフェインのハーブティーなどを選ぶのがおすすめです。
※参照:農林水産省「カフェインの過剰摂取について」
【辛い食べ物】
辛い物を食べると、体がポカポカ温まるように感じたことはありませんか?これは、辛さの成分が体の中で特別な働きをするためです。
唐辛子などに含まれる「カプサイシン」という辛さの成分は、私たちの口や食道、胃などの表面を刺激し、脳に「熱い!」と感じさせる信号を伝えます。
脳が「体を冷やさなければ」と判断すると、体は汗を出して体温を下げようとするモードに入ります。
この状態のまま寝てしまうと、寝ている間も「熱い」と感じ、寝汗をかく原因となってしまいます。
辛いものが好きな人は、就寝前には控えることが一番の対策です。刺激の強い食べ物は日中に楽しむようにして、代わりに辛さの気にならないハーブティーやスープを選んでみましょう。
※参照:農林水産省「カプサイシンに関する情報」
寝室は快適?室温や湿度をチェック!
室温が高くなりすぎて体温が上がると、体は余分な熱を逃がそうとして寝汗をかきます。
反対に、室温が低いときにはあまり汗をかきません。ただ、寒いからといって部屋を温めすぎると、冬でも知らず知らずのうちに寝汗をかくことがあります。
個人差や季節によっても異なりますが、寝床内の温度は33℃、湿度は50%の状態が最適とされます。
引用:厚生労働省「快眠のためのテクニック -よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係」
湿度が高い寝室では汗がスムーズに乾きません。汗が蒸発しないと熱を逃がせず、べたつきや不快感を感じやすくなります。
寝室環境を整えて寝汗を防ぐには、次のような対策があります。
エアコンのタイマー(入/切)を使う
扇風機やサーキュレーターで空気を循環させる
寝る前に換気して、湿気や熱がこもるのを防ぐ
通気性や吸湿性の高い寝具やパジャマを選ぶ
ポイントは「暑すぎず寒すぎず、湿度も高すぎない環境」です。体感や季節に合わせて室内環境を整え、ぐっすり眠れる状態をつくりましょう。
※詳しくは「寝汗で起きる?自分でできる7つの対策とは」でも解説しています。
原因2.性別や加齢で起こる変化
私たちの体は、一生を通じて少しずつ変化しています。性別の違いや加齢によって起こる体の変化も、寝汗の原因となることがあります。
女性
女性の体は、一生を通して女性ホルモンの量が大きく変化します。
女性の体がデリケートになる時期はいくつかあり、特に次のようなタイミングは体温が上がりやすくなったり、調節しづらくなったりする傾向があるといわれています。
●月経前
●妊娠中
●出産後
●更年期
※参照:厚生労働省「女性ホルモンとライフステージ」
これらの時期に起こる変化は、女性の体が年齢を重ねてライフステージが変わる過程で起こる自然なものです。
しかし、「寝汗が増えて目が覚める」「ほかの不調も現れている」など気になる症状がある場合には、かかりつけの内科や婦人科に相談してみてください。
特に婦人科では、女性特有の体や心の変化に関する悩みを気軽に相談できます。
男性
汗かきが原因と思われがちな男性の寝汗ですが、加齢に伴う体の変化を示すサインとして現れることもあります。
一例として、筋肉や骨を保つ働きをする男性ホルモンは、加齢とともに少しずつ変化していきます。
このホルモンバランスの変化が、体の熱をうまく調節できなくなることにつながり、寝汗を引き起こすことがあるのです。
さらに、ストレスや不規則な生活習慣、アルコールの飲み過ぎは、体のバランスを崩して体温調節を難しくする場合があります。
男性で寝汗が気になる場合は、まず生活習慣を見直してみましょう。十分な睡眠をとったり、食事や運動を規則正しくしたりするだけでも、寝汗の改善につながることがあります。
それでも症状が続く場合や不安な点がある場合は、かかりつけ内科や泌尿器科などで相談してみてください。
※参照:日本内分泌学会「男性更年期障害」
高齢者
私たちの体は暑いときに汗をかき、寒いときには震えることで体温を一定に保とうとしています。
しかし、高齢になるとこの機能がうまく働かなくなることがあります。その結果、少しの気温の変化でも体が対応しきれず、寝汗の原因になることがあるのです。
「冷房が寒く感じる」「電気代を節約したい」「リモコンの使い方が分からない」といった理由から、エアコンの使用をためらって室温が上がりすぎてしまうケースも少なくありません。
高齢者の寝汗で特に気をつけたいのは、体の水分不足から引き起こされる脱水症状です。脱水症状は次のような対策で予防できます。
●寝る前と起床後にコップ一杯の水を飲む
●昼間からこまめに水分を摂っておく
●エアコンや扇風機で室温を適切に保つ
●大量の汗をかいたときは塩分・ミネラルも補給する
●アルコールやカフェインの摂取を控える
●通気性・吸湿性のあるパジャマや寝具を使う
寝汗やトイレの回数を気にして水分を控えるのではなく、こまめな水分補給を心がけることが大切です。
体調に変化を感じたら、早めに医療機関の受診を検討してください。
※参照:健康長寿ネット「脱水症」
原因3.病気が原因のことも
寝汗には、思いがけない病気が隠れているケースもあります。
●細菌やウイルスの感染
●ホルモンや代謝の異常
●睡眠中の呼吸の異常
●心臓の異常
●がん(悪性の腫瘍)
●神経のバランスの乱れ
●薬の副作用
以上のほかにも、寝汗を引き起こす病気はたくさんあります。
気になる症状がある場合や、急に寝汗が続くようになった、寝汗がひどくなった、寝汗のほかにも症状があるといった場合は、自己判断せずに受診することをおすすめします。
※詳しくは寝汗で受診を検討するときの目安でも解説しています。
寝汗で起きる?自分でできる7つの対策とは
寝汗の原因は、毎日のちょっとした対策で改善できるケースがあります。
●寝室の温度・湿度をコントロールする
●吸湿性・通気性の高いパジャマを選ぶ
●寝具の素材を見直す
●寝る前の入浴はぬるめに調節する
●就寝前の飲酒を控える
●食事や生活習慣を整える
●リラックスできる環境を作る
生活習慣をすべて変えるのは簡単ではありませんが、できるところから取り入れて、少しずつ習慣を整えていくことが大切です。
対策1:寝室の温度・湿度をコントロールする
個人差や季節によっても異なりますが、寝床内の温度は約33℃、湿度は約50%の状態が良いといわれています。
快適で過ごしやすい室内の環境を作るには、次のような工夫が効果的です。
●エアコンや扇風機を活用する
●窓を開けて空気を入れ替え、湿気や熱を逃がす
●室温計や湿度計で室内の状態をチェックする
●換気とのバランスを意識して窓や冷暖房を調節する
特に高齢者は、若い人よりも体温調節の機能が低下している傾向があります。室温や湿度をこまめに確認し、自分に合った体調管理を組み合わせていきましょう。
対策2:吸湿性・通気性の高いパジャマを選ぶ
パジャマの素材は、汗の吸収に大きく影響します。吸湿性や通気性の良い素材を選びましょう。
さらりと乾きやすいパジャマは、中にこもった熱や湿気を逃がして体温を下げるのに役立ちます。
●おすすめの素材:綿、リネン、シルク
●注意したい素材:ポリエステルなどの化学繊維
厚手すぎる素材や密度の高い布、化学繊維(ポリエステルなど)は熱がこもりやすいため注意が必要です。
吸湿性や通気性の良いパジャマは汗をかいても肌にべたつきにくく、心地よい状態を保てる点もポイントです。
対策3:寝具の素材を見直す
寝汗をかきやすい人は、シーツやカバーの吸湿性や通気性、そして肌触りに注目して選びましょう。
【おすすめの素材】
綿(コットン):肌触りが良く、吸湿性に優れています。汗をしっかり吸い取ってくれるため、オールシーズンで使いやすい素材です。
麻(リネン):通気性が非常に高く、夏場に特におすすめです。シャリっとした独特の肌触りのおかげで涼しく感じられ、汗をかいても乾きやすい素材です。
シルク(絹):吸湿性と放湿性に優れ、肌触りもなめらかです。天然の繊維で触り心地が優しく、肌の感覚が敏感な人にもおすすめです。
【注意したい素材】
ポリエステルやフリース:これらの化学繊維は保温性が高い一方で、吸湿性や通気性が低い傾向にあります。汗をかくと蒸れて不快に感じやすいため、寝汗に悩んでいる人は避けたほうが無難です。
季節や体質に合わせて寝具の素材を見直すことで、より快適な睡眠環境を整えることができます。
対策4:寝る前の入浴はぬるめに調節する
熱すぎるお風呂は体の中心部の温度を上げてしまい、寝汗の原因になることがあります。
夜は38〜40℃くらいのぬるめのお湯に、ゆっくり浸かるのがおすすめです。入浴後に自然に体温が下がることで、心地よい眠りと寝汗の予防につながります。
特に高齢者は心臓や血圧への負担もあるため、無理のない時間・温度での入浴をおすすめします。
対策5:就寝前の飲酒を控える
就寝前の飲酒は、体が一時的に温まったように感じるだけでなく、体温調節が乱れやすくなって寝汗の原因となることがあります。
また、アルコールは睡眠の質を低下させ、夜中に目覚めやすくなる一因ともいわれています。
※参考:国立精神・神経医療研究センター「お酒を飲むとぐっすり眠れる?」
寝る前のアルコール習慣を見直すだけでも、寝汗の軽減や睡眠の質を向上させるのに大きく役立ちます。
体の変化に気を配りながら、継続して生活を整えていくことが大切です。
対策6:食事や生活習慣を整える
寝汗を防ぐためには、食事や生活習慣を整えることも重要です。
寝る直前の食事やカフェイン・刺激的な食べ物の摂取は、体の活動や体温上昇を引き起こし、寝汗の原因につながります。
昼夜逆転の生活や運動不足、ストレスの蓄積も、体のバランスを乱して寝汗を引き起こす要因となります。
長年の習慣を大きく変えられない場合は、小さなところからスタートしてみましょう。生活習慣を整えることで、寝汗の改善だけでなく健康の維持も期待できます。
対策7:リラックスできる環境を作る
寝汗を防ぐためには、寝る前に心身をリラックスさせる環境を整えることも大切です。
●照明を落として静かな空間を作る
●好きな香りや音楽で気分を落ち着ける
●スマートフォンやパソコンの使用を控える
入眠前のルーティンとして少しずつ取り入れてみると、快適な睡眠習慣を身につける手助けになります。
寝汗で受診を検討するときの目安
寝汗は多くの人に見られる一般的な現象ですが、体の不調を知らせるサインである場合も考えられます。
次のような状態が続く場合は、自己判断せずに医療機関の受診を検討してください。何科を受診すればよいか分からない場合は、内科のかかりつけ医に相談するのがおすすめです。
寝汗が続くようになった
今までの寝汗とは状態が異なり、急に気になる寝汗が続くようになった場合は注意が必要です。体の中の異常が原因となって寝汗が引き起こされている可能性が考えられます。
医療機関を受診するときには、
●いつごろから寝汗が気になっているか
●どのくらいの量の寝汗をかいているか
●週に何回ほど寝汗をかくか
など、自分の寝汗の状態をメモにまとめて持参するとスムーズに伝えられます。
大量の寝汗をかくようになった
着替えが必要になるほど大量の汗をかく場合は、体に何らかの負担がかかっているサインかもしれません。
個人差はありますが、睡眠中にかく汗の量は通常コップ1杯程度(約200ml)といわれています。
「寝汗がすごい」「寝汗で起きる」「汗びっしょりになる」など、今までとは違う汗の量が気になるときは注意が必要です。
寝汗で脱水症状が進むと、脱力感や手足のしびれといった別のサインが出ることもあります。
ほかに症状がある
寝汗のほかに、次のような症状があるときは受診を検討してください。
●熱がある
●体重が減少した
●体がだるい
●咳が続いている
●動悸や息切れがある
●食欲がない
●睡眠不足が続いている
●関節に痛みがある
●胸やお腹に痛みがある
●気分の落ち込みが続く
以上は症状の一例です。ほかに気になる症状がある場合は、自己判断せずに医師の診断を受けてください。寝汗に隠れている病気の早期発見にもつながる可能性があります。
寝汗をかく人からよくある質問
子どもの寝汗はなぜ多い?
子どもの体はどんどん大きくなっている状態で、大人よりも体温を調節する機能が未熟です。
体の表面積は小さいですが、大人と同じ数の汗腺があるため、大人より多くの寝汗をかいているように見えます。
寝汗をそのままにしておくと、体の冷えや風邪、肌トラブルの原因になりかねません。
枕カバーの上や肌着の下に一枚ガーゼを敷いておくと、汗をかいたときに簡単に取り外してスッキリできるので便利です。
高齢者の寝汗の注意点は?
高齢者は体の水分量が元々少なく、喉の渇きを感じにくいため、寝汗をかいて気づかないうちに脱水が進行している場合があります。
また、低血糖や代謝の異常といった病気が原因となり、寝汗が増えているケースも考えられます。急に寝汗の量や頻度が増えた場合は、自己判断せずかかりつけ医に相談してください。
寝汗で受診するときは何科?
寝汗で何科を受診すればよいか分からない場合は、内科のかかりつけ医に相談するのがおすすめです。
甲状腺などの異常が疑われるケースでは内分泌内科、精神的なストレスが原因と診断される場合には心療内科、女性に特有の不調であれば婦人科など、かかりつけ医から専門の科へ紹介されることがあります。
まとめ
寝汗は誰にでも起こる身近な現象ですが、ちょっとした生活習慣や寝室環境の工夫で改善できるケースが多くあります。
●急に寝汗が続くようになった
●大量の寝汗をかいている
●寝汗のほかに症状がある
このような場合は、自己判断せずに医療機関の受診を検討してください。
汗は体からのサインともいわれています。寝汗を健康のバロメーターとしてとらえ、心地よい睡眠へとつなげていきましょう。
監修
あなぶきヘルスケア
事業部長 喜田 康生 |
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平成17年にプランドゥ穴吹に入社。その後、地域の医療介護検索サイト「病院・介護ナビmilmil」を立ち上げ、サイト営業で多数の病院、クリニック、介護施設などを訪問。 現在はあなぶきヘルスケアにて、広告コンサルティングを通じ、ブランディングなど幅広い視点から医療介護業界をサポート。 |