寝汗がひどい?大量で凄い?病院に行くべきサインを知ろう
「夜中にびっしょり汗をかいて目が覚めた」
「朝起きたらパジャマが濡れていた」
このようなひどい寝汗をかいて、「ぐっすり眠れない」「病気だったらどうしよう」と不安に感じる人は多いでしょう。
寝汗には、自然な体の仕組みで起こるものと、体の異常がサインとなって現れるものがあります。
この記事では、寝汗がひどいときに病院などの医療機関に行くべきか、受診の目安について解説します。自分の体の状態を知って、快適な睡眠を取り戻しましょう。
※この記事の目的は一般的な健康情報の提供で、医師の診断や治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、必ず病院などの医療機関を受診してください。
寝汗がひどいときに病院に行くべきサインは?
本来、汗は体の熱を逃がすための大切な仕組みです。私たちの健康になくてはならないもので、体温の調節や老廃物の排出に役立っています。
寝汗がひどい状態が続いても、必ずしも深刻な病気とは限りません。しかし、次のような状態が見られる場合は、体が何らかの不調を伝えようとしている可能性があります。
●寝汗が急に続くようになった
●びっしょり濡れるほど汗が出る
●寝汗の他にも症状がある
ここでは、寝汗がひどいときに病院に行くべきサインについて詳しく解説します。
今までにない寝汗が急に続くようになった
「前はほとんど汗をかかなかったのに、最近は毎晩寝汗をかいてしまう」…このように感じるとき、体の中で今までとは違う変化が起こっているのかもしれません。
寝室の暑さやストレスが原因で、思いかけず寝汗をかくことはよくあることです。「毎日のように寝汗をかいている」という人もいることでしょう。
しかし、ひどい寝汗が急に始まり、翌日以降も続くようになれば注意が必要です。さらに体調の変化や他の症状をともなう場合は、不調を知らせるサインかもしれません。
生活習慣を改善しても、今までになかったような寝汗が続く場合は、病院などの医療機関で相談することをおすすめします。
びっしょり濡れるほどの汗が出るようになった
眠っている間にびっしょり濡れるほどかく汗は、単なる暑さだけの問題ではない可能性があります。
次のようなひどい寝汗が続くときは、何らかの理由で体が過剰に働いているサインかもしれません。
●朝起きたときにシーツまで濡れている
●着替えないと眠れないくらい汗をかく
●寝汗が多くて何度も目が覚めてしまう
大量の寝汗でびっしょり濡れるような状態が続くと、不快感がひどくなり疲れや睡眠不足にもつながりかねません。
日常的な原因を取り除いても大量の寝汗が続くときは、早めに医療機関で相談するようにしましょう。
寝汗の他にも症状がある
寝汗をかいて「昨夜は暑かったせいかな」「ちょっと疲れていたのかも」と思った経験は、多くの人にあるのではないでしょうか。
しかし、寝汗に加えて他の症状がある場合は注意が必要です。次のような症状はありませんか?
●微熱や寒気、体のほてり
●理由の分からない体重減少
●強いだるさ、倦怠感
●咳や息苦しさが続く
●動悸や息切れを感じる
●夜中に不安で目が覚める
このような症状が見られる寝汗は、ホルモンの異常や感染症、心臓の病気といった体の不調が影響している可能性があります。
ただの寝汗と考えて放置すると、症状が進んで深刻な状態になることもあります。気になる症状が続くようなら、早めに病院などの医療機関を受診しましょう。
寝汗をかく病気にはどんなものがある?
寝汗をかく病気は、さまざまな種類があります。
●感染症(インフルエンザなど)
●ホルモンや代謝の異常
●睡眠中の呼吸の異常
●心臓や肺の病気
●がん(悪性の腫瘍)
●神経のバランスの乱れ
以上のほかにも、思いがけない病気が隠れている場合もあります。
体の異常に気付くためのチェックリスト
寝汗で受診したとき、普段の生活について医師から詳しく聞かれることがあります。寝汗の他に次のような変化がないか、自分の状態を振り返ってみましょう。
1. 微熱が続いている
2. 咳が長引いている
3. 動悸がする
4. 息苦しさや息切れがある
5. しびれがある
6. 急なほてりがある
7. 寒気を感じる
8. 関節が痛む
9. 疲れやすくなった
10.めまいがする
11.空腹感が強い
12.体重が減った
13.夜中に不安で目が覚める
14.気分の浮き沈みが激しい
15.服用する薬が変わった
「いつもと違う」と感じる体の変化は、日記やメモに残しておくと、受診のときに役立ちます。次のような記録を持参すると、医師が症状のパターンを正確に把握でき、検査や治療などの必要性を判断しやすくなります。
●寝汗が出た日と時間帯
●汗の量・汗をかく体の場所
●朝の体調やだるさの有無
●食事内容や運動の有無
●ストレスや疲労の状況
●新しく服用した薬やサプリ
「何を一番に伝えたいか」「どんな対策をしたか」といった状況も簡潔にまとめ、正確に伝える準備をしておきましょう。
寝汗が凄いときに何科に行く?
寝汗は、体のさまざまな仕組みに関わる症状です。
病院の何科に行くのがよいか分からないときは、かかりつけの内科(総合診療科)を受診してください。
内科では、体全体の状態を広く診て、寝汗の原因がどこにあるのかを絞り込むための基本的な診察や検査を行います。
一般的に、次のようなステップで原因を探っていきます。
1. 問診
寝汗以外の体調の変化や生活習慣を尋ね、病気が隠れていないか判断する手がかりを探します。
2. 診察
体温や脈拍、リンパ節などを確認し、体調の変化を客観的にチェックします。
3. 基本的な検査
問診や診察で異常が疑われた場合、一般的な内科では主に血液検査が行われます。
4. 専門科への紹介
基本的な診察や検査で原因が特定できない場合や、特定の病気が強く疑われる場合は、内科から専門の診療科への紹介となります。
内科(総合診療科) | 寝汗の原因がはっきりしない場合 |
内分泌内科 | 男性・女性ホルモンなどの異常 |
婦人科 | 更年期や月経に関連する異常 |
呼吸器内科 | 結核や肺炎などの感染症 |
心療内科・精神科 | 強いストレスや不安がある場合 |
糖尿病内科 | 低血糖や血糖の変動がある場合 |
循環器内科 | 心臓の病気が疑われる場合 |
他にも、血液内科や泌尿器科、神経内科、耳鼻咽喉科などに紹介される場合もあります。
寝汗は誰にでもよくあることで、必ずしも病気が原因とは限りません。しかし、いつもと違うパターンや量の汗が続く場合は、自分の健康状態を振り返るチャンスです。
気になる症状がある場合は受診して、快適な睡眠を取り戻しましょう。
寝汗で起きる…女性と男性の体のサイン
寝汗は誰にでもある症状ですが、女性と男性では寝汗の背景や傾向が異なります。
男女それぞれの寝汗に多い原因と、一般的にみられる体の変化について解説します。
女性の体の変化:ホルモンバランスの動きに注目
女性の寝汗には、体の中のホルモンのバランスが大きく関わることがあります。特に月経周期や妊娠、更年期などは、体温が大きく変化しやすい時期と言われています。
夜間に体温が上がると、寝汗でびっしょりになって目が覚めてしまったり、汗が引くときに体が冷えて風邪をひいたり体調を崩したりすることもあります。
こうした変化の多くは、体がライフステージに合わせて自然に調整しているサインです。
まずは寝室の室温や湿度、そして寝る前の過ごし方を工夫することで、快適な眠りが得られるようになるかもしれません。
それでもひどい寝汗が続いたり、寝汗以外にもほてりやだるさといった体調不良がある場合には、自己判断せずにかかりつけの内科や婦人科に相談してください。
体の変化を相談・確認してもらうことで、快適な眠りや安心につながります。
※参照:厚生労働省「女性ホルモンとライフステージ」
男性の寝汗:加齢に伴う変化やストレスも影響
男性の寝汗もまた、年齢とともに訪れるホルモンバランスの変化や、日々の強いストレスが大きく影響している場合があります。
アルコールの飲み過ぎや不規則な生活習慣も、体内の働きやバランスを崩し、寝汗の一因となることがあります。
体温を調節する機能が乱れると、寝汗だけでなく、寝つきが悪くなる、夜中に何度も目が覚めるなど、睡眠の質が低下する原因につながりかねません。
「自分はただの汗かきだ」と感じて見過ごしてしまう男性も多いですが、もし寝汗に加えて、疲れやすさ、理由のない体重の変化、動悸といった症状が一緒に出ている場合は注意が必要です。
体調の変化が続く場合は、自己判断せずにかかりつけの内科や泌尿器科などで相談し、体の状態を確認してもらいましょう。
※参照:日本内分泌学会「男性更年期障害」
大量の寝汗で受診する前に!知っておきたい寝汗の原因
寝汗は多くの病気で見られる症状ですが、生活習慣や環境、ストレスといった日常的な原因によっても起こることがあります。まずは身近な原因から見直してみましょう。
>>【寝汗の原因】なぜ?寝汗をかく理由と対策!受診の目安とは
寝室の環境
寝汗の量は、寝室の温度や湿度によって大きく左右されます。部屋が暑すぎたり、ジメジメしたりしていると、体は汗をかくことで体の温度を下げようとします。
●温度が高すぎる場合:エアコンの設定温度が高すぎる、または冬でも布団や毛布を重ねすぎていると、寝ている間に体温が上がりやすくなります。季節や体質に合わせて設定や寝具を調整し、少し涼しいと感じるくらいの●快適な寝室環境を保ちましょう。
●湿度が高すぎる場合:梅雨の時期や換気が不十分な部屋では、室内に湿気がこもりやすくなります。汗が蒸発しにくくなり、体が熱く感じてさらに汗をかいてしまうという悪循環に陥ることも。エアコンの除湿機能や除湿機を上手に使って、湿度50~60%を目安に保ちましょう。
●寝具の素材が合っていない場合:ポリエステルなどの化学繊維は、熱や湿気がこもりやすいことがあります。綿や麻、シルクなど吸湿性・通気性の高い素材の寝具を選ぶと、かいた汗を素早く吸い取り、蒸れにくく快適に眠れます。
寝室の環境を整えるだけで、体の自然な体温調節がスムーズになり、寝汗の量を減らせることがあります。
生活習慣
日中の過ごし方や夜の習慣が、夜間の発汗に大きく影響することがあります。生活を振り返り、改善するべき点がないかチェックしてみましょう。
●食事:寝る直前に辛いものや熱いものの食べ過ぎがあると、体が熱を帯びて寝汗をかきやすくなります。夕食は就寝の3時間ほど前に済ませ、刺激物を避けるようにしましょう。
●運動:寝る直前の激しい運動は、体温が下がるのを妨げ、夜間の寝汗につながります。運動は夕方の早い時間に済ませるか、夜に行う場合は軽めのストレッチやヨガなど、リラックス効果のあるものに切り替えましょう。
●睡眠リズム:夜更かしや不規則な生活は、体温を調節する仕組みを乱す原因の一つです。毎日決まった時間に寝起きすることを心がけ、規則正しい睡眠リズムを維持しましょう。
●アルコールやカフェイン:寝る前に摂取すると体温が変化しやすくなり、寝汗の原因になることがあります。就寝前の飲酒やカフェイン摂取は控えることが大切です。
食事や運動、睡眠のリズムを少しずつ整えることから始めてみましょう。毎晩のちょっとした習慣を変えることが、寝汗の改善と質の良い睡眠につながります。
ストレスや緊張
日常的なストレスや強い不安は、私たちの体を「活動モード」に変え、夜間の寝汗を増やす大きな原因となります。
たとえば、次のような状態に心当たりはありませんか?
●夜に考え事をしてしまい、なかなか眠れない
●仕事や家事のプレッシャーで夜も心が休まらない
●寝る前にスマホやパソコンを使って頭が冴えてしまう
このように心が緊張すると、体は無意識のうちに熱を放出しようと働き、その結果として寝汗をかきやすくなります。
寝る前に深呼吸や軽いストレッチ、ぬるめの入浴など、リラックスする習慣を取り入れてみましょう。体を少しゆるめる工夫をすることで、心地よい眠りに近づけるはずです。
薬の服用
薬の副作用として寝汗が出ることもあります。
「新しい薬を飲み始めてから寝汗が増えた」と感じたら、まずは服用している薬の説明書(添付文書)を確認してみましょう。
同じ薬でも人によって反応の出方は異なります。自己判断で服用を止めたり、量を減らしたりせず、必ず医師や薬剤師に相談してください。
薬が原因であると判断された場合、種類や量の調整について専門的なアドバイスを受け、より安全に症状を改善できます。
病気
生活習慣や環境を整えてもひどい寝汗が続く場合は、病気が隠れている可能性も視野に入れる必要があります。
寝汗は非常に多くの病気で見られる症状であるため、「寝汗だけ」で深刻に考えすぎず、他の症状と合わせて観察することが大切です。
特に次のようなサインが見られるときは、体が何らかの異変を知らせているかもしれません。
●咳が長引いている
●動悸がする
●息苦しさや息切れがある
●体重が減った
以上の他にも症状がある
「たかが寝汗」と自己判断せずに、まずはかかりつけの内科で一度相談してみると安心です。早期に体の状態を確認することで、不安の解消や適切な治療につながります。
ひどい寝汗を防ぐ!今日から試したい5つの対策
寝汗は、寝室の環境や生活習慣、ストレス、病気など、さまざまな要因が関係しています。軽い寝汗が気になるとき、まずは自分でできる対策から少しずつ試してみましょう。
対策1:寝具を見直す
寝具を工夫することで、体が自然に熱を逃がしやすくなり、寝汗の不快感を減らせることがあります。
●通気性と吸湿性:蒸れやすい布団や毛布は避け、通気性の良いものに替えましょう。シーツや枕カバーは綿や麻など、汗を素早く吸い取る素材が最適です。
●熱がこもりにくい工夫:マットレスや敷布団に熱がこもらないよう、通気性の良い敷きパッドを使うことも有効です。寝具内の湿度が快適に保たれ、寝汗をかきにくくなります。
季節や気温に合わせて寝具を工夫するだけでも、快適な睡眠に大きく近づけます。
対策2:パジャマを工夫する
パジャマの素材や厚さは、寝汗の量や快適さに直接影響します。
●心地よい素材を選ぶ:肌触りが良く、吸湿性・通気性に優れた綿や麻素材のパジャマを選びましょう。
●ゆったりとしたデザイン:体を締め付けないゆったりしたサイズのパジャマは、体温調節を妨げず、寝汗の蒸発を助けます。
●厚着はしない:冬でも厚すぎる服装は、寝汗をかいた後に急激に体を冷やす原因になります。肌着とパジャマで調整し、適度な保温を心がけましょう。
自分に合ったパジャマを選び、夜中の汗による不快感や寝苦しさを減らしましょう。
対策3:室温・湿度を最適に保つ
寝室の環境を整えることは、寝汗対策の基本です。
●室温の調整:エアコンや扇風機を使い、季節に応じて快適と感じる温度に調整しましょう。
●湿度の管理:湿度は50〜60%以下を目安に保ちます。特に夏場や梅雨時は、エアコンの除湿機能を積極的に活用しましょう。
●冬の注意点:冬場の加湿器の使いすぎは、結露や寝具の湿気につながります。定期的な換気も忘れず行いましょう。
快適な環境を整えることで、体が過剰に汗をかく必要が減り、気持ちよく眠れるようになります。
対策4:生活習慣を改善する
夜更かしなどの生活習慣の乱れも、体調のバランスを崩し、寝汗をかく原因になります。
●運動時間:寝る直前の激しい運動は避け、体温が落ち着いた状態で眠りにつけるようにしましょう。
●リラックス習慣:ぬるめのお風呂に入る、軽いストレッチをするなど、寝る前に心身をリラックスモードに切り替える習慣を取り入れましょう。
●カフェイン・アルコール:体を興奮させたり、利尿作用で体温を変化させたりするアルコールやカフェインは、就寝前には控えましょう。
体の中のリズムが整うと、睡眠のリズムも整いやすくなります。生活習慣をすぐに変えるのは難しいですが、今日からできることを一つずつ実践してみましょう。
対策5:便利なグッズを使う
寝汗による不快感を減らすために、市販されている便利なグッズを活用するのも一つの方法です。
●昼間の日光を防ぐ遮光カーテン
●熱のこもりにくい寝具やパジャマ
●簡単に脱げる汗対策インナー
●暗い部屋でも見やすい室温・湿度計
●センサー付きサーキュレーター など
寝汗による不快感や寝苦しさは、睡眠不足を引き起こしかねません。無理なく取り組める工夫から始めてみましょう。
まとめ
寝汗は、誰にでも起こる自然な体の反応です。病気ではない寝汗の多くは、寝室の環境、服装、日々の生活習慣を見直すことで改善できます。
しかし、次のようなサインが見られる場合は、「ただの汗」ではなく体が異常を知らせているサインかもしれません。
●寝汗が急に続くようになった
●びっしょり濡れるほど汗が出る
●寝汗の他にも症状がある
判断が難しい場合や、気になる症状が続く場合は、ためらわずにかかりつけ医への受診を検討してください。早めに体の状態を確認し、快適な睡眠と健康を取り戻しましょう。
監修
あなぶきヘルスケア
事業部長 喜田 康生 |
---|
平成17年にプランドゥ穴吹に入社。その後、地域の医療介護検索サイト「病院・介護ナビmilmil」を立ち上げ、サイト営業で多数の病院、クリニック、介護施設などを訪問。 現在はあなぶきヘルスケアにて、広告コンサルティングを通じ、ブランディングなど幅広い視点から医療介護業界をサポート。 |