記事作成日:2023年9月19日

「こども未来戦略方針」とは?|医療費・妊娠期・医療的ケア児への支援

2023年6月1日、日本政府は異次元の少子化対策として「こども未来戦略方針」を発表しました。
その内容は、医療費の負担軽減や妊娠期からの支援、医療的ケア児に対する支援などさまざまな政策を盛り込んでいます。
中でも注目されている「医療費・妊娠期・医療的ケア児への支援」について解説しましょう。
 

こども未来戦略方針とは?



こども未来戦略方針とは、若い世代が希望どおり結婚し、希望する誰もがこどもを持ち、安心して子育てができる社会、こどもたちがいかなる環境、家庭状況にあっても、分け隔てなく大切にされ、育まれ、笑顔で暮らせる社会の実現をするための政策をまとめたものです。
 
政府は「少子化は、我が国が直面する、最大の危機である。」とし、2030年を目標に「加速化プラン」を打ち出しています。
 

特に注目されている「加速化プラン」



加速化プランには、以下のようなことが盛り込まれています。

  • 児童手当の拡充
  • 出産等の経済的負担の軽減
  • 医療費等の負担軽減
  • 高等教育費の負担軽減
  • 妊娠期からの切れ目ない支援の拡充
  • 障害児、医療的ケア児等の支援基盤の充実
  • 幼児教育・保育の質の向上
  • 男性育休の取得促進

その他、ひとり親やヤングケアラーなどに対する政策や、子育てにやさしい社会づくりのための意識改革として、公共交通機関への理解・協力を啓発するなどについても盛り込まれています。

 

中でも注目されているのが以下の3つ。

  1. 妊娠期からの切れ目ない支援の拡充
  2. 医療費等の負担軽減
  3. 障害児、医療的ケア児等の支援基盤の充実

上記3つの項目について紹介していきましょう。

 

1.妊娠期からの切れ目ない支援の拡充

閣議決定書には、以下のように記載されています。

○   妊娠から産後2週間未満までの妊産婦の多くが不安や負担感を抱いていることや、こどもの虐待による死亡事例の6割が0歳児(うち5割は0か月児)であることなどを踏まえると、妊娠期からの切れ目ない支援と産前・産後ケアの拡充は急務となっている。

 

 ○  このため、妊娠期から出産・子育てまで、身近な場所で相談に応じ、多様なニーズに応じた支援につなぐ「伴走型相談支援」について、地方自治体の取組と課題を踏まえつつ、継続的な実施に向け制度化の検討を進める。その際、手続等のデジタル化も念頭に置きつつ制度設計を行う。

 

 ○  退院直後の母子に対して心身のケアや育児のサポートなどを行い、産後も安心して子育てができる支援体制の確保を図る産後ケア事業については、利用者負担の軽減措置を本年度から全ての世帯に対象を拡大して実施するとともに、支援を必要とする全ての方が利用できるようにするための提供体制の確保に向けた取組を進めるなど、子育て家庭の産前・産後の心身の負担軽減を図る観点から実施体制の強化等を行う。また、乳幼児健診等を推進する。 

 

○  女性が、妊娠前から妊娠・出産後まで、健康で活躍できるよう、国立成育医療研究センターに、「女性の健康」に関するナショナルセンター機能を持たせ、女性の健康や疾患に特化した研究やプレコンセプションケア8を含む成育医療等の提供に関する研究、相談支援等を進める。また、2022年度から保険適用された不妊治療について、推進に向けた課題を整理、検討する。

 

「伴走型相談支援」として、産後ケア事業については、利用者の負担軽減措置を今年から全ての世帯を対象に実施します。 出産育児一時金の大幅な値上げ(42万円→50万円)や、低所得の妊婦に対する初回の産科受診料の費用助成も実施するとのことです。

また、2026年度を目途に、正常分娩による出産費用を保険適用にするなど、出産に関わる費用の支援強化について検討するとしています。 そして、これらの支援が必要な全ての世帯で利用できるよう、提供体制の確保に向けた取組を進めています。

 

2.医療費等の負担軽減

こども医療費助成については、以下のように記載されています。

おおむね全ての地方自治体において実施されているこども医療費助成について、国民健康保険の国庫負担の減額調整措置を廃止する。

 

あわせて、適正な抗菌薬使用などを含め、こどもにとってより良い医療の在り方について、今後、医学界など専門家の意見も踏まえつつ、国と地方の協議の場などにおいて検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずる。

 

現在は、不要な受診をできるだけ抑制するため、小学生以上の子どもの医療費助成をしている自治体への補助金を減額していますが、この措置を撤廃するとのことです。

それにより、自治体による子どもの医療費助成を後押しする方針となっています。 2024年以降に予定していますが、具体的な実施時期は未定です。

 

3.障害児、医療的ケア児等の支援基盤の充実

多様な支援ニーズへの対応とし、社会的養護、障害児、医療的ケア児等の支援基盤の充実を目指しています。

特に障害児支援、医療的ケア児支援等については、以下のように記載されています。

○  経済的に困難な家庭のこども、障害のあるこどもや医療的ケア児、異なる文化的背景を持つこどもなど、多様な支援ニーズを有するこどもの健やかな育ちを支え、「誰一人取り残さない」社会を実現する観点から、それぞれの地域において包括的な支援を提供する体制の整備が求められる。

 

○  障害の有無にかかわらず、安心して暮らすことができる地域づくりを進めるため、地域における障害児の支援体制の強化や保育所等におけるインクルージョンを推進する。

具体的には、地域における障害児支援の中核的役割を担う児童発達支援センターについて、専門的な支援の提供と併せて、地域の障害児支援事業所や保育所等への支援を行うなどの機能強化を行うとともに、保育所等への巡回支援の充実を図る。

また、医療的ケア児、聴覚障害児など、専門的支援が必要なこどもたちへの対応のため地域における連携体制を強化する。

こうした体制の強化が全国各地域で進むよう、国や都道府県等による状況把握や助言等の広域的支援を進め、地域の支援体制の整備を促進する。

 

日本ではさまざまなニーズのある子育て世帯に対し、支援基盤や自立支援の拡充に重点を置き、障害児支援、医療的ケア児支援など、更にきめ細かい対応について議論していくとしています。

 

「こども未来戦略方針」の財源の確保



「こども未来戦略方針」の財源の確保についてはどうなっているのか、疑問に思う人は多くいます。
政府は、2028年までに歳出改革等を徹底し、そこから得られる公費の節減等や社会保険負担軽減の効果を活用することで確保できるとしています。
また、これを目的とした増税は行わないということです。

なお、歳出改革等による財源確保や経済社会の基盤強化をしながら、企業や社会経済の参加者が公平に負担する「支援金制度(仮称)」を、年末までに構築すると公表しています。
 

「こども未来戦略方針」国民の声



増税されることなく、これらの支援がおこなわれることについて、国民はどのように感じているのでしょうか。
 

上記のほかにも「この政策はもっと褒められてもいい」という声が上がっており、期待している人も多くいました。
しかし、一定数でまだ不安に思う人もいるようで、増税されるのではないかなどと危惧している人も少々見受けられます。
筆者としても、国民の不安を払拭できるような異次元の政策が実施されることを祈っています。
 

まとめ

こども未来戦略方針は、未来の日本を担うための大きな一手だと言えるでしょう。
さまざまな政策が盛り込まれた子ども未来戦略、支援が必要な全ての世帯で利用できるように、少しでも早く提供体制の確保ができますように。
 

関連施設

【香川県高松市】かわさきレディースクリニック

かわさきレディースクリニックは思春期から老年期まで幅広い世代にわたって女性の健康をサポートしています。
また、医師をはじめスタッフが全員女性なので、女性の立場にたった診療が受けられます。

 

【綾歌郡宇多津町】松浦こどもメンタルクリニック

JR宇多津駅すぐ近く。県下では少ない子供専門の精神科です。
心理士による専門のカウンセリングからADHD(注意欠陥・多動性障害)、発達障害など専門の診察、治療を行います。

 

【香川県坂出市】峯小児科医院

【香川県丸亀市】ながいこどもクリニック

 

監修

あなぶきヘルスケア
事業部長  喜田 康生

 

平成17年にプランドゥ穴吹に入社。その後、地域の医療介護検索サイト「病院・介護ナビmilmil」を立ち上げ、サイト営業で多数の病院、クリニック、介護施設などを訪問。現在はあなぶきヘルスケアにて、広告コンサルティングを通じ、ブランディングなど幅広い視点から医療介護業界をサポート。

 


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