食べ過ぎの腹痛に今すぐできる対処法はある?原因と翌日のケアも解説
食べ過ぎの後に起こる腹痛は、頑張り過ぎたお腹が「少し休ませてほしい」と訴えているサインかもしれません。
多くの場合は一時的なものだと分かっていても、「悪化したらどうしよう」と不安になることもあるでしょう。
この記事では、食べ過ぎによる腹痛を今すぐ和らげたいときの対処法と、腹痛を引き起こすと言われる原因、翌日以降も不調が続くときのケアなどについて解説します。
食べ過ぎてお腹がパンパンに張り、痛みが出るのは本当につらいものです。自分に合った対処法を知って、無理せず体をいたわってください。
※この記事の目的は基本的な健康情報の提供であり、医師の診断や治療に代わるものではありません。気になる症状が続く場合は、必ず病院などの医療機関を受診してください。
食べ過ぎの腹痛を今すぐ和らげたいときの対処法6つ
食べ過ぎの後に起こる腹痛は、少し休んだり適切にケアすることで、自然と落ち着いていくことが多いものです。
ここでは、つらい腹痛を今すぐ和らげたいときに役立つ6つの対処法を解説します。
楽な姿勢をとる
体に力が入って心まで緊張してしまい、痛みをより強く感じた経験はありませんか?
食べ過ぎて腹痛がつらいときは、体を締め付けているものを外し、一番楽だと感じる姿勢になることが大切です。
●衣類やベルトを緩める:ウエスト周りを締め付けるベルトや洋服を緩めましょう。圧迫がなくなるだけでも、体への負担が軽く感じられるようになります。
●横向きで膝を軽く曲げる:多くの人が落ち着きやすいと言われるのが、横向きになって膝を軽く曲げる姿勢です。お腹まわりの緊張を自然とゆるめてくれます。
●リラックスできる服装に着替える:立ち上がれるようなら、締めつけのない服に着替えてみるのもおすすめです。スウェットパンツやゆったりしたワンピースなど、締め付けの少ない服を選びましょう。
無理のない姿勢でリラックスしながら、ゆっくり体が落ち着くのを待ちましょう。
お腹を温める
お腹を優しく温めると、体が自分で回復しやすい状態を整えるのに役立ちます。
温かいタオル、使い捨てカイロ、電子レンジで温めるタイプの温熱パッドなどを使って、お腹をじんわり温めてみましょう。
湯たんぽは広い範囲をゆっくりと温めることができ、リラックス効果も高まります。心地良い温かさが、お腹のつらさをほぐしてくれるでしょう。
なお、カイロや湯たんぽの熱が直接皮膚に伝わると、低温やけどにつながる場合があります。必ず衣服やタオルの上から当て、異変があれば中止するようにしてください。
ツボ押しやマッサージでケアする
軽いマッサージやツボ押しは、つらい腹痛を落ち着かせるのに役立つ場合があります。
●「の」の字マッサージ:お腹にガスがたまったように感じて苦しいときは、おへその周りを時計回りに「の」の字を描くように、手のひらで優しくさすってみてください。
●ツボを押さえる:手首の指3本分ほど内側、2本の筋の間にある「内関(ないかん)」は気分が悪いとき、膝の下のくぼみから指4本分ほど下の外側にある「足三里(あしさんり)」は胃の不快感に用いられることの多いポイントです。
「優しく押さえる」程度の力加減で、お腹の状態を確かめながら行ってください。
ガムをかむ
少し意外に感じるかもしれませんが、食後にガムをゆっくりかむだけでも、ムカムカした不快感が和らぐことがあります。
ガムをかむと出る唾液には、食べ物の消化を助けるだけでなく、逆流してきた胃酸(お腹の中の消化液)の強さを薄めて食道を守る働きもあります。
ガムは、口の中がスッキリするようなタイプのものがおすすめです。深呼吸するような気持ちで、リラックスしながらかんでください。
ゆっくり水分補給する
食べ過ぎて気持ちが悪いときは、「何も飲みたくない」と感じるかもしれません。無理に飲む必要はありませんが、脱水を防ぐためには水分を少しずつとることが大切です。
ほんの一口飲むだけでも胃酸が薄まり、ムカムカ感が軽くなることがあります。
大量の水を一気に飲むと、お腹が急に膨らんで不快感が強くなる可能性もあるため、まずはコップ半分程度の水をゆっくり口に含むようにしましょう。
白湯、常温の水、ノンカフェインのお茶などがおすすめです。
市販薬を活用する
セルフケアを試してもなかなか楽にならないときは、市販薬を使うのも選択肢の一つです。
薬を選ぶときは薬剤師や登録販売者に相談し、今の症状や体質に合ったものを選んでもらうと安心して服用できます。
●胃もたれや重さが気になるとき:「消化を助けるタイプ」 の薬を選ぶと、胃に長く残っている食べ物の分解を手伝ってくれます。
●胸のつかえやムカつきがあるとき:胃酸の出過ぎを抑える働きや、胃の内側を守る働きのある薬を選ぶと、ムカムカ感が落ち着きやすくなります。
市販薬は、あくまでもその場のつらい症状を和らげる「一時的なサポート役」に過ぎません。
使用しても症状が改善しないときは、病院などの医療機関を受診してください。
お腹が破裂しそう?食べ過ぎて腹痛が起こる原因とは
食べ過ぎた後に起こる腹痛は、お腹が「頑張りすぎているよ」と訴えているサインなのかもしれません。
食べ過ぎによる腹痛を引き起こすと言われる、3つの原因について解説します。
お腹が急に膨らんでパンパンになる
胃は伸びたり縮んだりするゴム袋のような作りをしており、一気に大量の食べ物が流れ込むと、大きくパンパンに膨らんでしまうことがあります。
急な膨らみによって胃が刺激されると、脳に「痛み」として伝わることがあります。
これが、食べ過ぎたときに感じる「張るような痛み」や「お腹がパンパンに張る感じ」の正体です。
特に早食いは、脳に満腹のサインが届く前にどんどん食べ進めてしまうため、気付かないうちに食事量が増えてお腹を大きく膨らませる原因になります。
消化が追いつかずムカつきが起きる
食べ過ぎてしまうと、お腹の中で食べ物をうまく処理しきれなくなり、重たい感じや気持ち悪い感じが続きやすくなると言われています。
また、食べ物でお腹がパンパンに膨らむと、胃酸が上へ押し上げられて逆流しやすくなり、ムカムカ感がさらにひどくなることもあります。
このように、食べ過ぎが原因で「気持ち悪さ」と「ムカつき」が同時に起こり、つらい痛みを感じる可能性があります。
ガスが溜まって差し込むような痛みが出る
食べ過ぎた後のお腹にキューッと刺さるような痛みは、ガスが原因となっている可能性があります。
●ガスがたくさん作られる:食べ過ぎたり、消化に悪いものを摂り過ぎたりすると、腸内細菌の働きによってガスが溜まりやすくなると言われています。
●ガスが長時間留まる:食べ過ぎによって体の働きが乱れたり、ガスを出す力が弱まったりすると、お腹が張ることがあります。
●空気をたくさん飲み込む:早食いなどで飲み込む空気が多い人は、お腹にガスが溜まりやすいと言われています。
ここまで解説したように、食べ過ぎによる腹痛の多くは時間の経過とともに落ち着いてくるケースがほとんどです。
しかし、他の理由が隠れている場合や、思わぬ病気のサインとして現れることもあります。
痛みが長く続くときや、「いつもと違うな」と感じる症状がある場合は、無理をせず医療機関で相談してみてください。
食べ過ぎた翌日も腹痛が続くときのケア
「翌日になっても腹痛がある」「まだ張っている感じがする」という場合は、体が食べ過ぎによる負担を引きずっているサインかもしれません。
体に負担の少ない食事を心がけ、お腹がゆっくり休める時間をつくってあげましょう。
食べ過ぎた翌日におすすめの食事
食べすぎた翌日の食事は、消化の良いものを選んで胃腸を休ませつつ、必要な栄養を少しずつ補給するのがおすすめです。
●消化に良く温かいもの:おかゆや雑炊、柔らかく煮込んだうどん、煮込み豆腐やスープ、白身魚の煮物、蒸し料理など
●避けるべきもの:油っぽい料理、辛いもの、アルコール類、カフェイン類、炭酸飲料など
お腹に負担をかけずに栄養を補給し、スムーズに回復を促すことが期待できます。
無理に普通の量を食べようとせず、体調に合わせてゆっくり戻していきましょう。
下痢もある?別の病気が原因のことも
食べ過ぎが原因の腹痛は、ほとんどの場合1〜2日ほどで自然に落ち着いていくと言われています。
しかし、2~3日以上痛みが続く場合や、下痢・発熱・嘔吐といった症状が一緒に出ているときは、単なる食べ過ぎとは別の原因を考えてみることが大切です。
特に、下痢や嘔吐が激しい場合は、細菌やウイルスによる食中毒や急性胃腸炎の可能性が考えられます。
厚生労働省などが注意喚起しているように、食中毒にはさまざまな種類があり、適切な処置が必要です。
参照:厚生労働省ほか丨食中毒を疑ったときには
食中毒の他にも、もともとお腹に不調がある場合は、食べ過ぎをきっかけに症状が強く出てしまうケースもあります。
市販薬で一時的に痛みを隠してしまうと、受診のタイミングが遅れてしまうことにもつながります。
気になるときは自己判断を避け、必要に応じて医療機関を受診することが大切です。
食べ過ぎが原因ではないケースも?病院を受診するべきサイン
食べ過ぎによる腹痛は、時間とともに落ち着くケースがほとんどですが、中には食べ過ぎだけでは説明できない病気が隠れていることがあります。
次のような場合は、消化器内科(胃腸科)などの医療機関を受診することをおすすめします。
動けないほどの強い痛みがある
「立っていられない」「体を丸めていないと痛みに耐えられない」ほどの激しい痛みは、すでに医師の助けが必要な状態になっている可能性があります。
迷わず医療機関を受診するか、場合によっては119番に連絡することも検討してください。
参照:厚生労働省丨上手な医療のかかり方:こんな時は迷わず119へ
痛みが時間とともに悪化する
時間が経つにつれて、腹痛が徐々に強くなっている場合も注意が必要です。
例えば、痛みの度合いが少しずつ増してくる、または安静にしていても6時間以上痛みが続いているような場合は、お腹の中で何らかの異常が進んでいる可能性があります。
その他の症状がある
腹痛だけでなく、次のような症状がある場合には注意が必要です。
●発熱
●嘔吐や下痢
●血便
●食欲不振
●食べ過ぎなくても痛む
●押さえると痛い
●グルグル音がする
これらは自宅でのセルフケアだけでは対応が難しい、何らかの病気が隠れているサインかもしれません。
不安を抱えたまま過ごすよりも、診断を受けて原因を特定したほうが安心につながります。気になる症状があれば、無理をせず医療機関に相談してください。
【習慣】食べ過ぎと腹痛を防ぐためにできること
食べ過ぎやつらい腹痛を繰り返さないためには、普段の生活の中で少しずつお腹に優しい習慣を取り入れていくことが大切です。
食事のスピードと量を見直す
人の体は、満腹を感じるまでに時間がかかる仕組みになっています。
食べ物がお腹に入って消化が始まると、体が「もう十分だよ」と判断して満腹感が生まれますが、この仕組みが働くまでにはおよそ15〜20分ほど時間が必要と言われています。
そのため、早食いをすると満腹になっても食べ続けてしまい、気が付くと食べ過ぎていたという状態になりがちです。
参照:厚生労働省丨健康日本21アクション支援システム:速食いと肥満の関係 -食べ物をよく「噛むこと」「噛めること」
一口あたりの量を少なくして「少し足りないかな」くらいの量で終える習慣が、食事のスピードと量を見直すのに役立ちます。
刺激の強い食べ物を控える
刺激の強い食べ物や飲み物は、消化不良や腹痛のきっかけになるほか、食欲が増して食べ過ぎにつながる場合があります。
●脂質の多い食事:揚げ物やこってりした料理は、胃もたれや腹痛が起こりやすくなると言われています。お腹の負担を減らすには「蒸す・茹でる」といった調理法がおすすめです。
●香辛料やカフェイン:辛い料理、コーヒー・エナジードリンクなどのカフェイン、アルコールは、お腹に負担をかけがちです。食欲を増してしまうなど、食べ過ぎにつながるケースもあります。
生活習慣を整えて体をいたわる
ストレスや生活リズムの乱れによって体の仕組みが不安定になると、お腹の動きも弱くなり、腹痛や食べ過ぎにつながりやすくなります。
体への負担を減らすために、次のような習慣を心がけましょう。
●食事バランス:栄養バランスの整った食事を規則正しく摂ることで、お腹の働きをサポートできます。
●生活リズム:就寝前はスマホの使用を控える、照明を落とす、ぬるめの入浴をするなど、眠りにつきやすい環境を整えましょう。食べてすぐに横になるのは、胃酸が逆流しやすくなるため避けましょう。
●ストレス管理:ストレスは食べ過ぎやお腹の不調の原因になります。入浴でリラックスしたり、瞑想を取り入れたりして、心身を整える時間を意識しましょう。
参照:厚生労働省丨健康日本21アクション支援システム:食事バランスガイド(基本編)
参照:厚生労働省丨こころもメンテしよう
便利なグッズを活用する
「気をつけよう」と思っても、つい食べ過ぎてしまうことは誰にでもあります。
そんなときは、生活に取り入れやすいグッズの力を借りて、無理なく食習慣を整えていきましょう。
●小さめの食器:食べ物を大きく多く見せることができます。小さなスプーンを使うと、一口の量を減らして時間をかけて食べられます。
●ランチマットやトレイ:「食事の場」を整え、ゆっくり楽しみましょう。
●タイマー:食事時間を管理して、早食いを防ぎます。
●保温マグ・スープジャー:外出先でも温かいものをゆっくり飲む習慣を付けます。
●食事管理アプリ:食事の記録を付けることで、適量を意識できます。
●はかり:食べる量を正確に把握して記録できます。
環境を少し工夫するだけで、自然と食べる量やスピードを調整しやすくなります。お腹への負担を減らし、食事をより快適に楽しむことができるでしょう。
よくある質問
ここでは、食べ過ぎて腹痛を感じるときによくある質問をQ&A方式でまとめます。
食べ過ぎの腹痛ってどんな痛み?
食べ過ぎによる腹痛は、お腹全体が風船のように張る膨満感や、胃もたれのような重苦しさが一般的と言われています。
消化不良でガスが溜まることで、差し込むような痛みを感じることもあります。
いずれの場合も、お腹の中で消化が進むにつれて徐々に和らいでいくと考えられています。
横になるときの向きはどちらが良い?
諸説あります。
胃酸の逆流や胸焼けが気になる場合は、左側を下にしたほうが良いと言われている一方、右側を下にしたほうが食べ物がスムーズに消化されやすいという考え方もあります。
仰向けやうつ伏せは、お腹を圧迫して気分の悪さにつながる場合があるため、自分が楽だと感じる姿勢をとるようにしましょう。
食べ過ぎていないのに食後に毎回お腹が痛くなるときは?
「そんなに食べていないのに、食後になるといつもお腹が痛い…」というときは、ただの食べ過ぎではない可能性があります。
ストレスにより体のバランスが乱れ、お腹の働きがうまくいかなくなるタイプの病気や、胃の内面にトラブルが起きているケースなど、別の病気が隠れている場合もあります。
自己判断せず、病院などの医療機関で相談してみることをおすすめします。
食べ過ぎによる腹痛はいつまで続く?
食べ過ぎによる腹痛は、多くの場合、数時間ほどで落ち着くことがほとんどと言われています。
お腹に優しいものを食べ、無理をせずに安静にしていれば、長くても1〜2日ほどで自然と良くなった経験のある人も多いでしょう。
2〜3日以上続く、あるいは痛みが強くなっていくようであれば、食べ過ぎ以外の原因が隠れている可能性があります。病院など医療機関の受診を検討してください。
食べ過ぎた翌日の食事メニューは?
消化に良く、温かくてあっさりした次のようなメニューがおすすめです。
●おかゆ・雑炊
●煮込みうどん
●湯豆腐
●野菜スープ
●白身魚の煮物
●蒸し料理
飲み物は、白湯やノンカフェインのお茶など、刺激の少ない水分を選んでください。
吐き気があるときはどうすれば良い?
無理に食べたり飲んだりせず、体を休めることが大切です。締めつけのない姿勢で安静にしておきましょう。
水分をとるときは、冷たい飲み物は避けて、白湯や常温の水を一口ずつゆっくり飲みます。ガムを噛むと唾液が出て、気持ち悪さが和らぐこともあります。
以下のページも参考にして下さい。
>>食べ過ぎて胃が気持ち悪い…対処法は?ムカムカや吐き気の原因と受診の目安
まとめ
食べ過ぎによる腹痛は、お腹が働きすぎて疲れてしまったときに起こる自然な反応です。
まずは、楽な姿勢で休む・お腹を温めるなど、体に負担の少ないセルフケアを行いましょう。
翌日も痛みが残るときは、消化に優しい食事で体を休め、場合によっては医療機関の受診を検討することも大切です。
早食いを控える・ストレスをためない・生活リズムを整えるといった習慣が、食べ過ぎや腹痛の予防に役立ちます。
体をいたわりながら、無理のないペースでお腹のコンディションを整えてください。
監修
| あなぶきヘルスケア
事業部長 喜田 康生 |
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| 平成17年にプランドゥ穴吹に入社。その後、地域の医療介護検索サイト「病院・介護ナビmilmil」を立ち上げ、サイト営業で多数の病院、クリニック、介護施設などを訪問。
現在はあなぶきヘルスケアにて、広告コンサルティングを通じ、ブランディングなど幅広い視点から医療介護業界をサポート。 |
