肩こりの原因とは?つらい凝りや張りのセルフケアと予防法
「気づくと肩が重くてだるさが抜けない」「肩こりの原因って何?」…そんな経験はありませんか。
日本臨床整形外科学会は、肩こりの原因を次のように説明しています。
●肩こりは肩甲骨周囲にある筋肉の血行不良が原因で筋肉がこる(かたくなる)状態で、その原因はいろいろあります。
●なで肩などの体形や職業、生活環境、ストレスなども要因としてあげられます。
●高血圧、内臓の病気など内科的疾患が関係していることもあるので、注意が必要です。
引用:一般社団法人 日本臨床整形外科学会丨肩こり
この記事では、肩こりの原因のほか、無理なく取り入れられる対策やよくある質問について解説します。
つらい凝りや張りをいたわって、毎日を心地よく過ごすためのヒントを考えていきましょう。
※この記事の目的は基本的な健康情報の提供であり、医師の診断や治療に代わるものではありません。気になる症状が続く場合は、必ず病院などの医療機関を受診してください。
肩こりの原因はなぜ?つらい凝りや張りを感じる理由
肩こりの原因は、大きく分けて「筋肉の緊張」「年齢による変化」「病気や不調」の3つが関係しやすいと言われています。
私たちの体は、なぜこれほどまでに凝りや張りを感じてしまうのでしょうか。それぞれ見ていきましょう。
肩こりの原因①筋肉が過度に緊張するから
肩こりの原因としてまず考えられるのが、肩の周辺の筋肉に緊張した状態が重なり、過度に負担がかかっているためです。
例えば、スマホを操作する時の姿勢に注目してみましょう。
手元の画面に夢中になると、どうしても視線が下がり、頭が前に突き出た姿勢で固定されがちです。
いわゆる「うつむき姿勢」が続くと、肩周りの筋肉はピンと張り詰めた状態が続いてしまいます。
また、時間に追われていたり、プレッシャーを感じたりして、奥歯を噛み締めたり肩をすくめたりするクセはないでしょうか。
精神的な緊張やストレス、体の冷えが続くと、無意識に肩に力が入ってしまうケースも少なくありません。
こうした「無理な姿勢」「頑張りすぎ」の状態が続くことが、私たちの「ズーン」とした肩の重だるさにつながっている可能性があります。
普段の生活を振り返って、次のような心当たりはありませんか。
●長時間のスマホやデスクワーク
●荷物の持ち方やソファの座り方のクセ
●精神的な緊張やストレス
●夏場の冷房などによる冷え
まずは自分の体と心が「緊張しているかどうか」に気づいて、少しずつ体をほぐすことを意識していきましょう。
肩こりの原因②運動不足が続いているから
日頃から歩く機会が少なかったり、ついエスカレーターやエレベーターを選んでしまったり。そんな日常の小さな「運動不足」の積み重ねも、肩こりの原因と言われています。
私たちの筋肉は、伸びたり縮んだりすることで血液などの巡りをスムーズにする「ポンプ」のような役割を担っています。
しかし、運動不足で筋肉を動かさない時間が長くなると、このポンプ機能が十分に発揮されません。
その結果、本来なら流れていくはずの物質が肩まわりに留まりやすくなり、それが「ズーン」とした重だるさや、頑固な凝りの一因になると考えられています。
まずは「散歩に出かける」「階段を選ぶ」といった日常の小さな動きで、運動不足の体を解きほぐしていきましょう。
肩こりの原因③加齢で体が変化するから
年齢を重ねるごとに「昔より肩がこりやすくなった」と感じることはありませんか。
それは日々の頑張りが積み重なり、知らず知らずのうちに体が変化しているサインかもしれません。
私たちの体は加齢とともに、筋力がゆるやかに低下し、しなやかに動かしづらくなることが知られています。
例えば、新品のゴムはよく伸びますが、時間が経つと固くなって伸びにくくなりますよね。
体も同じように、以前のような柔らかさを保つのが難しくなり、無理な姿勢や運動不足が重なって「重だるい凝り」として現れるようになるようです。
また、年齢を重ねるにつれて頭を支える筋力が少しずつ弱くなることも、肩こりを引き起こす一因となります。
人間の頭は、ボウリングの玉1個分(約4〜6kg)に相当する重さがあると言われています。
頭を支える力が低下すると、周囲の筋肉がその重さをカバーしようとして無理を重ねてしまい、以前よりも疲れが溜まりやすくなることも否定できません。
無意識のうちに肩まわりに余分な力が入り、筋肉の負担がさらに増えるというケースも考えられるでしょう。
こうした加齢による体の変化は、誰にでも起こる自然なものです。自分に合った継続できるケアを取り入れながら、上手につき合っていくことが大切です。
なお、40代や50代の人に起こることで知られる「四十肩・五十肩」は、筋肉の疲れが原因の「肩こり」とは別もので、肩の関節に炎症が起きている状態かもしれません。
もし「ただの肩こりにしては痛すぎるな」「寝返りを打つと激痛が走る」などと感じるなら、無理に動かさず、早めに整形外科などで相談してください。
肩こりの原因④病気が隠れているから
多くの肩こりは、日々の姿勢や疲れが重なって起こることがほとんどです。しかし、ときには「体の内側からのSOS」が現れているケースも考えられます。
注意したいのは、脳や心臓、胃など、肩こりとは直接関係がないように思える場所の病気や不調が、肩の痛みとなって感じられることがある点です。
目の使いすぎや歯の不調によって、首や肩の緊張が引き起こされる場合もあります。
次のような感覚には、肩こりでは片付けられない深刻な病気が隠れている場合があるため注意が必要です。
●いつもとは違う、刺すような鋭い痛みを感じる。
●肩だけでなく、腕や指先にしびれるような違和感がある。
●横になって休んでいても、痛みが全く引かない。
●吐き気やめまいを伴うような、ひどい張りがある。
このような場合は「単なる疲れ」と自己判断せずに、早めに整形外科やかかりつけ医といった医療機関に相談してください。
あなたの肩こりは?予防のためのチェックポイント
次の項目の中に、思い当たる生活習慣はありませんか。
●スマホ・PC: 操作しているとき、気づくと背中が丸まってうつむいている。
●立つ姿勢: 横から見たとき、耳の位置が肩よりも前に出ている。
●体の冷え: 手足が冷たく感じたり、入浴後に寒気を感じたりする。
●運動不足:階段を使ったり外を歩いたりする時間が少なくなった。
●ストレス: 呼吸が浅くなったり、うつむいてばかりという感じがある。
肩こりは、こうした日常の小さな習慣の積み重ねによって起こることが少なくありません。
もし「私に当てはまるかも」と思うものがあれば、それは肩まわりに負担がかかっているサインの可能性があります。
つらい肩こりを予防するために、まずは見直しできそうなクセがあれば改善することから始めてみましょう。
【肩こり対策】手軽にできるセルフケア7つ
肩こりの原因が何となく見えてきたら、次は対策となる簡単なセルフケアを試してみましょう。
1.スマホやパソコンを使う姿勢を見直す
今の生活の中で、スマホやパソコンを全く使わずに過ごすのは難しいかもしれません。だからこそ、身体にできるだけ負担をかけない「姿勢のコツ」を知っておくことが大切です。
ポイントは、頭をできるだけ下げないように意識することです。
スマホを操作するときは、背筋を伸ばして、画面を目の高さまで持ち上げてみましょう。首や肩にかかる重みが、少し軽減されたように感じませんか?
パソコン作業の場合は、画面の上端が自分の目の高さに来るように、椅子の高さなどを調節してみてください。
椅子に深く腰掛けて、背筋をスッと伸ばす姿勢も大切です。両足の裏をしっかりと床につけることで、体重が分散されて疲れにくくなると考えられています。
無理な姿勢の積み重ねは、首の骨のカーブがまっすぐになる「ストレートネック」を引き起こす場合もあります。
30分に一度は作業をストップして、姿勢をリセットしながら大きく深呼吸をしてみましょう。
時々遠くを眺めながら、張り詰めていた体にひと息つかせてあげることが大切です。
2.適度な運動で体をほぐす
体の凝りをほぐすためには、全身の巡りを良くすることが大切です。
息が切れるような激しいスポーツに挑戦する必要はありません。「あぁ、気持ちいいな」と感じる程度の適度な運動が、カチカチになった体を優しく解きほぐしてくれます。
特におすすめしたいのは、会話できるほどのスピードで無理なく進む散歩です。肘を軽く曲げて、後ろに引くように腕を振ることを意識してみましょう。
リズムよく歩くことで、肩周りの筋肉が自然に動き出し、溜まった疲れが流れて行きやすくなると言われています。
背筋を伸ばして少し遠くを見るように歩くと、呼吸も自然と深くなっていくことでしょう。身体がポカポカ温まってくるのを感じて、気分までスッキリできるかもしれませんね。
3.体を温めて一息つく
肩こりにとって、冷えは天敵と言っても過言ではありません。
寒さで体が縮こまると、姿勢が崩れるだけでなく、疲れが溜まって凝りや張りを感じる原因になると言われています。
そこでおすすめしたいのが、バスタイムをゆっくり楽しむ習慣です。
忙しいとついシャワーだけで済ませたくなりますが、湯船に浸かることで身体の芯までホカホカに温まることができます。
お湯の温度は40度くらいの、少しぬるめが理想です。10分から15分ほど、肩までゆっくりお湯に浸かってリラックスしてみましょう。
お気に入りの入浴剤を使って、好きな香りを楽しむのも良いですね。重い頭を支える筋肉が重力から解放され、緊張が解けていくのを実感できるはずです。
ゆっくりお風呂に入る時間が取れないときは、温かい蒸しタオルを目や肩に乗せるだけでも、目元や肩の疲れをじんわりとリセットしてくれますよ。
4.ストレスを溜めずリラックスする
緊張するような場面で、無意識に力が入って肩がギュッと上がってしまった経験はありませんか。
ストレスを感じると、私たちの身体は「戦闘モード」のような状態になり、知らず知らずのうちに筋肉に負担がかかってしまうと言われています。
日常の中でできる、簡単なリフレッシュを取り入れてみましょう。
例えば、お腹に手を当てて、ゆっくりと鼻から吸って口から吐く深い呼吸を繰り返してみてください。それだけで、張り詰めていた気持ちが少しずつ穏やかになることがあります。
好きな音楽を聴きながらリラックスしたり、穏やかな香りのハーブティーを飲んだりするのも素敵ですね。
1日のうちで数時間だけでもスマホを見ない「オフの時間」を作ることも、脳と体を休めるためには効果的です。
自分をいたわる時間を作ることは、決して贅沢なことではありません。心が緩むと、体もそれに合わせて少しずつほぐれていくでしょう。
5.ストレッチやツボ押しを試す
縮こまった体をゆっくりと伸ばすストレッチは、いつでも手軽にできるおすすめのセルフケアです。
まずは、両手の指先をそれぞれの肩にちょんと乗せてみましょう。そのまま、肘で大きな円を描くように、ゆっくりと後ろに向かって回してみてください。
肩同士を背中の真ん中でキュッと寄せて、少しの間止めてみます。「ふぅ」と息を吐きながら、一気に肩の力を抜いてストンと落としましょう。
このような動きを、仕事の合間やお風呂上がりのリラックスタイムに数回繰り返すだけで、自然と肩の重みが楽になることがあります。
また、古くから伝わる「ツボ」を押してみるのもおすすめです。
肩こりに良いとされるツボの一つに、「肩井(けんせい)」があります。首と肩のちょうど真ん中あたりを触ってみて、「あ、気持ちいいな」と感じたポイントが目印です。
強く押しすぎず、心地良い強さでじんわりと刺激するのがコツです。刺激が強すぎる場合は、中指と人差し指、薬指など、複数の指で優しく押さえてみてください。
6.枕をチェックして睡眠中の姿勢を見直す
もし、朝起きた瞬間に「もう肩が重い」と感じるなら、枕が身体に合っていないのかもしれません。
人生の3分の1は眠っている時間だと言われています。この時間は、体を十分にケアして肩を楽にするための絶好のチャンスです。
枕選びのポイントの一つは、横になって寝たときに「首から背骨までがまっすぐになっているかどうか」です。
高すぎる枕は首を圧迫してしまいますし、低すぎると頭が安定しません。
もし今の枕に違和感があるなら、バスタオルを畳んで高さを調整し、自分にとって一番楽なポイントを探してみるのも良いでしょう。
眠る環境を少し整えるだけで、翌朝の体がぐっと軽くなるかもしれませんね。
7.手軽なセルフケア用品を試す
ドラッグストアや生活雑貨のお店では、肩をいたわる便利アイテムがたくさんあります。
●肩や首をじんわりと温める温熱シート
●ストレッチをサポートするチューブやポール
●気になる部分に直接当てて転がすローラー
●繰り返し目元に使えるホットアイマスク
●座る姿勢を正しくサポートするクッション
自分の体と相談しながら、無理なく取り入れられるものを見つけてみましょう。
ただし、これらのアイテムは、あくまで肩のだるさを楽にするための「補助」として活用することが大切です。
姿勢の見直しや適度な運動、休息などを続けても肩こりが気になるときは、医療機関で相談することをおすすめします。
【Q&A】肩こりに関するよくある質問
ここでは、肩こりを感じたときによくある質問をQ&A方式でまとめます。
首・肩こりで受診する目安は?
生活習慣や筋肉の疲れが積み重なることで起こる肩こりは、セルフケアや姿勢の見直しを続けながら、しばらく様子を見るのが一般的とされています。
ただし、次のような症状がある場合は、医療機関に相談することをおすすめします。
●痛みや凝りが2〜4週間以上続く
●痛みが強く、日常生活に支障がある
●痛みが悪化している
また、以下のような症状がある場合は特に注意が必要です。
●強い痛みや激しい不快感がある
●頭痛や吐き気がある
●胸の違和感や息苦しさがある
●運動や階段を上るときに痛む
●しびれや麻痺のような感覚がある
このような症状は、肩こりではない深刻な状態が隠れているケースがあります。「いつもの肩こりだろう」と決めつけずに、早めの受診を検討してください。
肩こりの薬を市販品から選ぶときの注意点は?
肩こりの痛みや不快感を楽にしたいとき、市販薬をドラッグストアなどで手軽に入手したいと考える人も多いのではないでしょうか。
一般的に、気になる部分に直接アプローチしたいときは「貼り薬」や「塗り薬」、全身や内側からのケアを意識したいときは「飲み薬」が選ばれることが多いようです。
しかし、自己判断で何となく薬を選んでしまうと、思わぬトラブルにつながることも考えられます。
次のような注意点を押さえた上で、分からないことがあれば薬剤師さんに相談してください。
●痛みの種類に合った薬(塗る・貼る・飲む)を選ぶ
●説明書どおりの使い方を守る
●長期使用や他の薬との併用に注意する
●持病がある場合は薬剤師に相談する
●痛みが続く場合は医療機関へ相談する
内蔵の病気やストレスが肩こりの原因になることはある?
肩こりの多くは姿勢や筋肉の緊張によるものですが、体の不調(内蔵の病気など)やストレスが関係して、肩に違和感や重だるさが現れるケースもあります。
強いストレスを感じていると、無意識のうちに体に力が入り、呼吸も浅くなりがちです。すると、首や肩の筋肉が緊張した状態が続き、凝りや痛みがつらくなりやすくなります。
また、まれではありますが、脳・胃・心臓などの内臓の病気が、「関連痛」として肩や背中の違和感につながることもあるようです。
気になる症状があるときは、無理をせず整形外科やかかりつけの内科を受診してください。
肩こりの原因で女性が気をつけたいポイントは?
肩こりは男女問わずよくある不調ですが、女性ならではの体のリズムも、肩こりの原因となるケースがあると考えられています。
●筋力量の違い:女性は男性に比べて、首や肩周りの筋肉量が少ない傾向があり、姿勢を支えるための負担が大きくなりやすいと考えられています。
●生活習慣や役割による負担:長時間のデスクワークや、子供の抱っこや介護のための動作などで、肩や首に無理な負荷がかかることがあります。
●体の冷え:冷えを感じやすい人は、体の中の巡りが滞って肩こりに影響している場合があります。
●体の使い方や姿勢のクセ:肩に負担がかかる下着やバッグの持ち方などが、無理な姿勢の原因となることがあります。
●ホルモンバランス:関節周りの柔らかさや血液などの巡りに影響し、肩の動きが重く感じられたり、凝りや張りを強く感じたりする人もいるようです。
気になる症状があるときは、かかりつけの内科や婦人科で相談してください。
まとめ
肩こりの原因は、筋肉への負担が積み重なることにあると考えられています。背景には、次のような環境や生活習慣が関係しているケースがあります。
●姿勢のクセ
●運動不足
●冷え
●ストレス
●加齢
●病気
「スマホの位置を少し上げる」「ゆっくり湯船につかる」といった小さな生活の見直しで、肩周りが楽に感じられるようになる場合もあります。
ただし、しびれや強い痛みがある、症状が急に変わった、ほかの不調を伴うなど「いつもと違う症状」と感じる場合は、無理をせず医療機関に相談することが大切です。
肩こりは、「少しだけお休みしてね」という体からのメッセージかもしれません。
体の声に耳を傾けながら、無理のないケアで上手く付き合い、心地よい毎日を過ごしていきましょう。
監修
| あなぶきヘルスケア
事業部長 喜田 康生 |
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| 平成17年にプランドゥ穴吹に入社。その後、地域の医療介護検索サイト「病院・介護ナビmilmil」を立ち上げ、サイト営業で多数の病院、クリニック、介護施設などを訪問。
現在はあなぶきヘルスケアにて、広告コンサルティングを通じ、ブランディングなど幅広い視点から医療介護業界をサポート。 |
