肩が痛い原因は?上がらない・前が痛い…よくある症状と受診の目安

「急に肩が上がらなくなった」「肩の前側がズキズキ痛む」といった悩みはありませんか?
一言に「肩が痛い」といっても、その原因は肩のけがや病気だけではなく、ときには内臓の不調や病気まで多岐にわたります。
特に、次のような症状があるときは注意が必要です。すぐに受診を検討してください。
●突然、冷や汗が出るほどの激痛に襲われた
●胸が締め付けられる痛みや、息苦しさがある
●うずくまったり、倒れたりしている
●片手に力が入らず、だらりと垂れ下がる
●肩全体が腫れ上がり、熱がある

この記事では、肩が痛くなる原因やよくある症状、そして「病院を受診するべきか」という目安について分かりやすく解説します。
軽い痛みだと思って放っておくと、症状がひどくなったり、深刻な病気を見逃したりすることに繋がりかねません。
まずは、体が出している大切なサインに耳を傾けることから始めてみましょう。
※この記事の目的は基本的な健康情報の提供であり、医師の診断や治療に代わるものではありません。気になる症状が続く場合は、必ず病院などの医療機関を受診してください。

肩が痛い…原因は?考えられる3つの可能性



一言で「肩が痛い」といっても、その原因は肩のトラブルから内臓の病気までさまざまなケースがあり、大きく分けると次の3つの可能性が考えられます。
●体の中で起こる「病気・変化」
●無理な負荷が外からかかる「けが」
●日常の「悪い姿勢」の積み重ね
それぞれ詳しくみていきましょう。

1. 体の中で起こる「病気・変化」

肩の痛みは、肩そのもののトラブルだけでなく、ときには全く関係なさそうな体の「病気や変化」が原因で起こる場合があります。

【肩そのものに起こる病気・変化】
肩の痛みの原因でまず多いと考えられているのが、肩やその周辺で起こる病気や変化です。
日本整形外科学会では、肩に起こるトラブルの一例として、次のようなケースを挙げています。
●肩こり
●翼状肩甲骨(翼状肩甲)
●五十肩(肩関節周囲炎)
●肩腱板断裂
●石灰沈着性腱板炎(石灰性腱炎)
●腕神経叢損傷
●胸郭出口症候群
●反復性肩関節脱臼
引用:一般社団法人 日本臨床整形外科学会丨肩周辺の症状

肩の痛みは、加齢や肩の使用の積み重ねによって起こるものが多く、場合によっては体の中で「硬くなる」「異物ができる」「もろくなる」といった変化がみられるケースもあります。
これらの病気や変化は、整形外科を受診して診察・検査を受けることで状況が分かります。

【内臓など別の場所が原因で起こる変化】
肩の痛みは、肩そのものではなく、別の場所のトラブルが痛みとなって伝わるケースもあります。
内臓の不調が原因となることもあり、場合によっては一刻を争うサインかもしれません。
特に、冷や汗が出るほどの激痛や胸の締め付けなどを伴う場合は、迷わず救急車を呼ぶか、すぐに医療機関を受診する必要があります。
詳しくは後述の「【緊急】肩が痛い…すぐに受診が必要な症状」で解説します。

2. 無理な負荷が外から加わる「けが」

肩に強い衝撃が加わることによる「けが」も、肩の痛みの大きな原因の一つです。
スポーツや事故で転んで手をついたときや、仕事で重い荷物を急に持ち上げたときに、肩の内部が傷ついたり伸びたりすることで起こります。
「けが」と言っても、骨折のように大きく腫れるものばかりではありません。
自分では「少しひねっただけ」「時間が経てば治るだろう」と思っていても、体の内部が深く傷ついていて、放置すると痛みがひどくなったり動かなくなったりするケースも考えられます。
もし「パキッという音がした」「数日たっても痛みが引かない」など、違和感がある場合は無理に動かさず、早めに整形外科で診てもらうことが大切です。

3. 日常の「悪い姿勢」の積み重ね

肩が痛い原因には、日々の生活習慣によって引き起こされるものもあります。
長時間のデスクワークやスマートフォンの操作で、体に無理な負担がかかっていませんか?
特に、首を前に突き出したり、背中を丸めたりする姿勢が続くと、重い頭を支えるために体への負担が重なります。
悪い姿勢が続くと、肩周りの重だるい痛みやコリを引き起こしかねず、痛みだけではなく頭痛やめまい・吐き気などを感じる場合もあります。
まずは、自分の姿勢が崩れていないかチェックしてみましょう。日頃から姿勢を整えてあげる意識を持つことが、未来の健康を守る大切な一歩になります。
※肩こりの対処法や受診の目安は、以下の記事も参考にしてください。

>>肩こりがひどいのは病気?症状チェックと対処法・受診の目安を解説

肩が痛い…急に上がらない?前が痛い?よくある症状



肩の痛み方は人それぞれですが、よくある症状にはいくつかのパターンが考えられます。
●腕を上げようとしても上がらない:耳の横まで腕を上げようとしても、途中で固まってしまったように動かなくなる状態です。
●肩の前側がズキズキ痛い:服を着替えるときや、後ろにある物を取ろうとしたときに、肩の付け根の前側に鋭い痛みが走るケースです。
●急に肩周りが痛くなった:特に変わった動きをしていなくても、あるとき突然に肩の痛みを感じるパターンです。
●夜、寝ているときに痛む:じっとしていても痛い、あるいは痛い方の肩を下にして寝ると、目が覚めてしまうような状態です。
自分の状態をよく観察し、診察のときには正確に伝えるようにしましょう。

肩が痛いときに病院を受診するべき目安



肩が痛いと感じたとき、「これくらいで病院に行ってもいいのかな?」「寝ていれば治るかも」と迷う人も多いでしょう。
受診する目安は、一般的に「日常生活に支障があるか」と「痛みの強さや期間」といわれています。
特に、次のような状態が続く場合は、整形外科で一度相談してみると安心です。
●肩が痛くて仕事や勉強に集中できない
●着替えや洗髪がつらい
●じっとしていても肩の痛みで眠れない
●痛みがだんだん強くなっている
●ピリピリとしたしびれを感じる
たとえ我慢できる痛みであっても、原因が分からないまま放置すると、治るまでに時間がかかってしまうケースもあります。
「いつもと違うな」と感じたら、早めに医師の診断を仰ぎ、適切な処置を受けることがスムーズな回復への第一歩です。

【緊急】肩が痛い…すぐに受診が必要な症状



肩のトラブルによる痛みはよくある症状ですが、まれに別の場所の深刻な病気が原因で、痛みが出たり手に力が入らなくなったりするケースがあります。
参照:日本赤十字社│心臓発作・脳卒中

特に以下のような症状がある場合は、時間が経つほど回復が難しくなったり、命に関わったりする可能性があります。
●突然、冷や汗が出るほどの激痛に襲われた
●胸の締め付けられる痛みや息苦しさを伴う
●うずくまったり、倒れたりしている
●片手に力が入らず、だらりと垂れ下がる
●肩全体が腫れ上がり、熱がある
このような状態がみられる場合は、夜間や休日であっても「大げさかな?」と思わず、すぐに医療機関を受診してください。

肩が痛いときは何科で診断する?

肩の痛みや、腕の動かしにくさを感じたときは「整形外科」が専門の診療科です。
参照:日本整形外科学会│整形外科のかかりかた

「接骨院(整骨院)やマッサージと何が違うの?」と疑問に思う人もいるかもしれませんが、整形外科は医師が診断を行う場所で、レントゲンやエコーなどの機械を使った検査が受けられます。
原因がはっきりしないまま無理に動かしたりマッサージしたりすると、症状が悪化する恐れがあるため、まずは専門の医師による正しい判断を仰ぎましょう。
なお、肩の痛みの他に次のような症状がある場合には、整形外科から別の診療科を紹介してもらうケースもあります。
●胸の痛みや息苦しさ:循環器内科
●お腹の痛みや吐き気:消化器内科、内科
●激しい頭痛やめまい:脳神経外科
●だるさや微熱:内科、血液内科
●ストレスや不眠:精神科、心療内科
迷ったときは一番気になる症状の診療科を受診し、必要があれば適切な科を紹介してもらうのが一般的な流れです。
診察のときは「他に気になっている症状」も正確に医師に伝えることが、原因究明への大切な手がかりとなります。

肩が痛いときに行われる一般的な検査



肩の中で何が起きているのかを調べるために、整形外科ではさまざまな検査を行います。
どの検査も、肩の症状や疑われる病気ごとに医師が選択して行います。
参照:一般社団法人 日本臨床整形外科学会丨肩周辺の症状

問診・視診・触診

本格的な検査を行う前に、まずは医師による対面での状況確認があります。
いつから肩が痛いのか、転んだなどのきっかけはあるか、夜に痛みで目が覚めるかといった情報を、詳しく伝えることが大切です。
その後、医師が直接肩の状態を確認していきます。
●肩の見た目(腫れや色の変化など)の観察
●痛む場所を軽く押さえたときの様子
●実際の肩の動き(どこまで腕が上がるか、引っかかりがあるか等)
自分の症状をあらかじめメモしておくと、限られた診察の時間の中で伝え漏れがなくなり、早期の解決に役立ちます。

レントゲン検査

外からでは見ることができない、肩の骨などの状態を確認するための基本的な検査です。
レントゲン検査自体は、数分程度で終わるごく短いものです。金属類が付いていない服に着替え、撮影の間だけじっとしていればすぐに終わります。

超音波検査(エコー)

ゼリーを肩に塗り、皮膚の上から機械を当てて体内の様子をモニターに映し出す検査です。
検査時間は10分程度で、ゼリーが少しひんやりしますが検査が終われば拭き取るだけで大丈夫です。
画面を見ながら説明を受けられることが多く、体の状態をその場で確認しやすいメリットがあります。

MRI・CT検査

レントゲン検査や超音波検査より、詳しく調べたいときに行われる検査です。
●MRI:強力な磁石の力を使う検査です。トンネルのような装置の中で20~60分ほど、横になって安静にします。大きな音がしますが、痛みは全くありません。
●CT:X線で詳しく調べます。検査自体は非常にスピーディーで、痛みもありません。
ここまで主な検査について記載しましたが、他にも血液検査や体内に薬液を入れての検査など、必要に応じてさらに詳しい調査が行われることもあります。

肩が痛い…整形外科の主な治療は?



肩の痛みの正体がわかったら、次はいよいよ治療です。
「病院に行くと、いきなり手術を勧められるのでは?」と不安に思う方もいるかもしれません。
しかし、緊急性が高い場合を除き、まずは体への負担が少ない治療から段階的に進めていくのが一般的です。
参照:一般社団法人 日本臨床整形外科学会丨肩周辺の症状

安静

痛みがひどいときは、まずはその原因を落ち着かせることが先決です。
無理に肩を回したり重い物を持ったりするのを避け、体の回復を待ちます。
状態によっては、ただ動かさないように気をつけるだけでなく、専用の器具で固定することもあります。
「全く動かさない」のが良い時期と「少しずつ動かした方が良い」時期があるため、いつまで安静にするかの判断は医師の指示に従いましょう。

薬物療法

痛みを和らげるために、飲み薬や貼り薬(湿布)、塗り薬を使います。
痛みが非常に強い場合には、注射をすることもあります。

物理療法

専用の機械を使って、体の外側から刺激を与える方法です。
弱い電気を流してピリピリさせたり、温かいパックを当ててほぐしたりします。

リハビリテーション

肩の動きをスムーズにするための「練習」です。
リハビリの先生と一緒に、固まってしまった関節を優しく動かしたり、肩を支える筋肉を少しずつ鍛えたりします。
家でも簡単にできる方法を教わることで、再発しにくい体づくりを目指します。

手術

「内部が深く傷ついて自然には治らない」、「お薬やリハビリを続けても痛みが引かない」という場合に検討される手段です。
最近では、カメラを使って小さな穴から行うような、体への負担が少ないといわれる方法も増えています。
手術の時期や入院期間など、事前に先生としっかり話し合って決めることになります。

肩の痛みでよくある質問【ストレッチ・病気】



肩の痛みが続くと「自分でストレッチしてもいいの?」「もしかして怖い病気?」と、疑問や不安が湧いてきます。
ここでは、肩が痛いと感じるときによくある質問と回答を、分かりやすくまとめます。

肩が痛いときにストレッチや運動をしていい?

激しい痛みがある時期は、自己判断でのストレッチや運動は一般的に控えたほうが良いとされています。
体の内部が深く傷ついているときに無理に動かすと、傷口を広げるようなことになりかねません。
ただし、肩の状態や症状によっては、積極的にリハビリをするのが良いと考えられるケースもあります。
自分で判断がつかないときは、病院でリハビリが必要な時期かどうかを相談するのが安心です。

左肩・右肩どちらかだけ痛いのは病気のサイン?

片方の肩だけに痛みが出ると、「右肩の痛みは病気のサイン?」「左肩だけ痛い、突然で怖い…」などと不安になるものです。
片側だけ痛いからといって、すぐに深刻な内臓の病気だと決まるわけではありません。体の使い方や姿勢のクセが原因のケースも考えられます。
しかし、先述のとおり、肩の痛みと一緒に胸の痛みや息苦しさ、冷や汗などがある場合は、一刻を争うサインかもしれません。
これまでに経験したことがない痛みや、気になる症状がある場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

左肩だけ痛い症状が突然に出たら?

「左肩だけ突然に痛い症状が出る」…そんなとき、単なる肩こりだと思い込むのは少し危険かもしれません。
先述のとおり、肩の痛みには、心臓など別の場所のトラブルが隠れている場合があります。

【すぐに受診が必要な症状】
●突然、冷や汗が出るほどの激痛に襲われた
●胸の締め付けられる痛みや息苦しさを伴う
●うずくまったり、倒れたりしている
●片手に力が入らず、だらりと垂れ下がる
●肩全体が腫れ上がり、熱がある
以上に該当する場合は、迷わず医療機関を受診してください。

日常生活の動作で予防・改善できる?

一般的な肩こりであれば、日常生活のちょっとした姿勢や動作の工夫により、肩の痛みをセルフケアできる可能性があります。
しかし、「体の内部の病気」や「関節のけが」などが原因となっている肩の痛みは、日常生活の改善だけでは不十分です。
まずは病院で原因を特定し、正しい治療を受けながら生活習慣を見直していく必要があります。

肩の痛みで寝れないときは?

「肩の痛みで寝れない」「夜中に目が覚めてしまう」という状態は、本当につらいものです。
日本理学療法士協会では、肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)で痛みが強いとき、寝る姿勢の整え方について次のように説明しています。
●仰向けで寝るときは、床に肘が付かないように、少し腕を持ち上げるような姿勢で肩への負担を減らす
●横向きで寝るときは、痛い方の肩を上側にして、クッションなどに乗せて肩への負担を減らす
参照:日本理学療法士協会│肩関節周囲炎

ただし、あくまでこれは肩関節周囲炎の人が「痛みを和らげるための工夫」です。
別の病気が隠れているケースでは、夜も眠れないほどの痛みを放置すると、深刻な状態になったり回復が遅れたりする可能性があります。
まずは病院で原因を突き止め、根本的な治療をスタートすることが大切です。

肩が急に痛いときに使える市販薬はある?

薬局やドラッグストアでは、肩が痛いときに使えるさまざまな市販薬を取り扱っています。
ただし、市販薬を使っても数日経って痛みが引かない、あるいは痛みが強くなっていく場合は、痛みを感じにくくなっている間に状態が悪化しているかもしれません。
また、お腹への負担や肌への刺激など、どんな薬が合っているかは人によって違います。迷ったときは薬剤師や登録販売者に相談するのが安心です。

肩こりと病気の見分け方はある?

「いつもの肩こり」と思っていても、肩こりにはさまざまな病気が関係している可能性があります。
頚椎疾患、頭蓋内疾患、高血圧症、眼疾患、耳鼻咽喉疾患、肩関節疾患の随伴症状としての「肩こり」も少なくありません。
引用:日本整形外科学会│肩こり

これらの病気を診断するには、病院への受診が必要です。「いつもの肩こりとは違う」「ほかに症状がある」「セルフケアをしても改善しない」という場合は、早めに整形外科などで相談することをおすすめします。

まとめ

肩が痛いとき、病気・けが・肩こりなどさまざまな原因が考えられます。
仕事や勉強に集中できない、夜に目が覚める、痛みがだんだん強くなっているといった場合は、早めに整形外科を受診しましょう。
特に、「冷や汗が出るほどの激痛」「胸の痛みや息苦しさを伴う肩の痛み」は緊急性が高く、一刻を争うサインの可能性があります。
肩こりと病気を見分けるには、医師の診断が必要です。
「これくらいで病院へ行ってもいいのかな?」とためらわず、まずは医師へ相談することが、痛みのない毎日を取り戻すための確かな一歩となります。

監修




あなぶきヘルスケア
事業部長 喜田 康生
平成17年にプランドゥ穴吹に入社。その後、地域の医療介護検索サイト「病院・介護ナビmilmil」を立ち上げ、サイト営業で多数の病院、クリニック、介護施設などを訪問。
現在はあなぶきヘルスケアにて、広告コンサルティングを通じ、ブランディングなど幅広い視点から医療介護業界をサポート。

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