打撲(打ち身)に湿布は効果ある?早く治すのは可能?注意点とよくある質問
ふとした瞬間に体を強く打ち、つらい痛みや腫れが出てしまう「打撲(打ち身)」。
そんなとき、多くの人が思い浮かべるのが「湿布」を使ったセルフケアでしょう。
しかし、いざ貼ろうとすると「打撲に湿布は効果あるの?」「どんな湿布なら早く治すことができる?」と迷ってしまうことも少なくありません。
この記事では、打撲をセルフケアするための湿布の選び方や、使い方の注意点について解説します。
※この記事の目的は基本的な健康情報の提供であり、医師の診断や治療に代わるものではありません。気になる症状が続く場合は、必ず病院などの医療機関を受診してください。
打撲(打ち身)とは?
「打撲」とは、転んだり何かに強くぶつかったりしたときに、体の外側から強い衝撃を受けて引き起こされるケガのことです。
参照:大正健康ナビ│打撲・捻挫(ねんざ)
一般的には「打ち身(うちみ)」とも呼ばれ、軽いケースであれば数日から1週間ほどで自然に落ち着くことが多いと考えられています。
しかし、痛みが激しいときや、時間が経っても腫れが引かないときは、体の中で思いのほか大きなダメージを受けているケースが考えられるため注意が必要です。
打撲に湿布が「効果ある」と考えられている理由
多くの人が「湿布は打撲に効果ある」と考えている背景には、主に次のような理由があります。
●症状に合うタイプを選べる:湿布にはいくつかの種類があり、ぶつけた場所の状態や目的に合わせて商品を選べます。「ヒンヤリ」「スースー」するタイプや、じんわり温かく感じるタイプ、痛みに働きかける成分が含まれているタイプもあります。
●ピンポイントでケアできる:湿布は痛みがある場所に直接貼れるため、つらい所をピンポイントでケアできます。飲み薬を避け、お腹を刺激したくない人が選ぶケースもあります。
●香りのあるタイプもある:市販の湿布の中には、スーッとする香りの成分が含まれている商品もあり、気持ちをリフレッシュしたい人から選ばれています。
自分の打撲の状態や目的に合ったタイプを正しく使うことで、湿布は心強い味方になってくれるでしょう。
打撲(打ち身)の湿布はどれがいい?おすすめの選び方
湿布にはたくさん種類があり、ぱっと見ただけでは、自分の症状にどれがいいのか判断しづらいものです。
ここでは、一般的に打撲(打ち身)したときによく使われる湿布と、その選び方を解説します。
参照:奈良県医師会│湿布を正しく使えていますか?
冷感タイプ
冷感タイプは、肌に貼ると「スースー」「ひんやり」といった冷たい感じがする湿布です。
中には冷たい感じがするだけでなく、「痛みに働きかける成分」(※)が含まれているタイプもあります。
※詳しくは後述します。
打撲をした直後から2~3日の間は、ぶつけた部分が腫れて熱く感じることが多いため、一般的にはこの冷感タイプが好まれます。
注意したいのは、冷感タイプの湿布そのものには、体の内部まで実際に冷やす力がないという点です。
痛みが激しいときや腫れているときは、湿布ではなく「氷のう(氷を入れた袋)」などを使ってしっかり冷やすようにしましょう。
温感タイプ
打撲から数日が経って熱っぽさが引いてきても、重だるい痛みが消えないことがあります。
そんな時期には、温感タイプの湿布が選択肢に入ります。
多くの温感タイプの湿布には、ホカホカとした温かさを感じる成分が配合されており、冷感タイプと同様に「痛みに働きかける成分」が含まれているものもあります。
しかし、温感タイプを使うタイミングには注意が必要です。
症状が強く、まだ熱を持っている時期に温めてしまうと、腫れがひどくなったり痛みが強まったりするケースがあるためです。
打撲の痛みや腫れに対する、基本的な応急処置は「冷却」と言われています。
「温めるのが気持ちいい」と思えるくらい症状が落ち着くまでは、しっかり氷のうなどで冷やし、湿布を貼りたいときは冷感タイプを選ぶようにしましょう。
迷ったときは、ドラッグストアで薬剤師・登録販売者等に相談して選ぶと安心です。
痛みに働きかける成分を含むタイプ
湿布には、痛みに働きかける成分を含むタイプの商品があります。
このタイプを使うときには、次の点に注意が必要です。
●薬の成分を確認する:湿布のパッケージをよく見ると「第2類医薬品」や「第3類医薬品」などの記載があります。これは、副作用のリスクや、使用時の注意の度合いに応じての分類です。
●年齢制限を確認する:成分によっては「15歳未満は使用禁止」など、年齢制限がある商品も少なくありません。湿布を子供に使いたいときは、十分にチェックしてから購入しましょう。
●肌への刺激に気をつける:肌が弱い人には、薬の成分の刺激が強すぎる場合があります。過去に湿布でかぶれたことがある人は、特に注意が必要です。
判断が難しいときは、薬剤師や登録販売者に相談して選ぶと安心です。
打撲を早く治すのは可能?湿布の使い方の注意点
湿布は使い方を誤ると、早く治すどころか、かえって体に負担を与えたり肌を傷めたりする場合があります。
打撲して湿布を使うときに気をつけたい、7つの注意点を解説します。
1.自分の症状に合った成分やタイプの湿布を選ぶ
自分の症状に合ったタイプの湿布を選ばないと、早く治るどころか、逆に痛みや腫れをひどくさせてしまう恐れがあります。
一般的には、ぶつけた直後から2~3日の間に熱く感じるなら「冷感タイプ」を、数日経って熱は引いたけれど、まだ重だるいような痛みが続くなら「温感タイプ」を選ぶのが良いと言われています。
痛みに働きかける成分の有無や、素材の柔らかさや香りの有無、冷たくも温かくも感じないタイプなど、湿布のバリエーションは豊富です。
湿布は「なんとなく」ではなく、症状やタイミングに合わせて選ぶようにしましょう。
2.子供の湿布は対象年齢を確認する
湿布の中には、年齢によって使用が制限されているものがあります。子供に使いたいときは、対象年齢をよく確認して選んでください。
子供の肌は薄く、かぶれなどの副作用のリスクが懸念されています。
湿布を貼る前にパッチテスト(腕の内側などに小さく切って貼る)をして、赤くならないか確認しておくとより安心です。
3.傷口やかぶれのある場所に湿布を貼らない
打撲をした所に、すり傷・切り傷・かぶれなどの異常があるときは、湿布を貼らないようにしましょう。
湿布の成分が傷口に直接触れると、痛みやかぶれを引き起こすことがあるほか、刺激によって傷の治りが遅れてしまう場合があります。
4.湿布を長時間貼りっぱなしにしない
多くの湿布は、12時間、あるいは24時間などという使用時間が決められています。
特に汗をかきやすい夏場や、肌がデリケートな人は、長時間貼りっぱなしにせず清潔に保つことを心がけましょう。
使用時間を超えていなくても、かゆみやかぶれが気になるときは早めに外すようにします。
「湿布をはがすとき」のダメージも注意が必要です。
肌が弱い人や湿布がしっかりくっついてはがれにくいときは、肌を守るために、シャワーなどで少し濡らしてからゆっくりはがすようにしましょう。
5.自己判断でほかの外用薬と一緒に湿布を使わない
早く治したいからといって、自己判断で塗り薬などの上に湿布を使うことはやめましょう。
思わぬ副作用が出たり、肌が荒れてしまったりする場合があります。
複数の外用薬を一緒に使いたいときは、医師や薬剤師、登録販売者等に相談してください。
6.かゆい・かぶれるなどの副作用が出たら湿布を外す
特にもともと肌が弱い人や、初めてのタイプの湿布を使うときは注意が必要です。
貼ってから数分しか経っていなくても、「かゆいな」「チクチク痛いな」と異変を感じたらすぐにはがすようにしましょう。
はがした後は、薬の成分が肌に残らないよう流水で優しく洗い流しておくと安心です。
赤みやブツブツができて引かない場合は、放置せずに皮膚科等の受診を検討してください。
7.湿布の効果が感じられない場合は受診する
湿布を正しく使っても、痛みが全く引かない、あるいはむしろ増してくるというときは、単なる打撲ではない場合があります。
「大きくパンパンに腫れてきた」「指先がしびれてきた」「ズキズキして熱があるみたい」など、気になる症状がある場合は、整形外科などの医療機関を受診しましょう。
打撲(打ち身)で湿布する前に!応急処置と貼り方のコツ
打撲(打ち身)で湿布を貼る前に、まずは基本となるケガの応急処置について確認しておきましょう。
内出血もケア!打撲の応急処置(RICE処置)
打撲した直後の強い痛みや内出血を、湿布だけでケアするには限界があります。
スポーツの世界でもよく知られる、打撲のようなケガに効果的な基本の応急処置が「RICE(ライス)処置」です。
●安静(Rest):痛みがあるのに無理に動かすと、内出血が広がり、腫れや痛みがひどくなることがあります。まずは椅子に座ったり横になったりして、ぶつけた場所を動かさないように休みましょう。
●冷やす(Ice):氷のうや、ビニール袋に入れた氷を痛い所に当てます。15〜20分ほど冷やしたら一度外し、10分ほど経ってまた痛みが出てきたら冷やす、という流れを繰り返します。※氷が直接肌に当たって冷やしすぎると、凍傷になる恐れがあるため、薄いタオルなどの上から当てるようにしましょう。
●圧迫(Compression):腫れが広がらないよう、包帯などで軽く圧迫します。ギチギチに強く巻きすぎると、しびれたり青白くなったりすることがあるので注意が必要です。
●高く上げる(Elevation):ぶつけた場所を、クッションなどを使って「自分の胸よりも高い位置」に保ちます。重力を利用して血が溜まりすぎるのを防ぎ、つらいズキズキや腫れをケアします。
応急処置と湿布は、役割に合わせ順序立てて行うことが大切です。
「まずは氷で熱を下げて、症状に合ったタイプの湿布を使う」というように、自分の状態をみながら一つずつ手当てしていきましょう。
参照:公益財団法人スポーツ安全協会│ RICE処置とは?応急手当ての基本を学ぼう
RICE処置のほかの応急処置
先述の「RICE処置」のほかに、最近はスポーツ分野などで「PRICE(プライス)」や「POLICE(ポリス)」といった新しい考え方も広がっています。
●PRICE(プライス):RICEに「保護(Protection)」を加えたものです。添え木やテーピングなどでケガした部分を守り、症状の悪化や同じ場所でのケガが起こらないように気を配ります。
●POLICE(ポリス):「安静(Rest)」の代わりに 「適切な負荷(OL=Optimal Loading)」をすすめています。 「ずっと動かさないでいるよりも、痛みのない範囲で適切に動かしたほうが回復をサポートできる」という考えに基づいた方法です。
参照:⼀般社団法⼈⽇本アスレティックトレーニング学会│RICE処置
一人のときもOK!はがれにくい湿布の貼り方
湿布をはがれにくくするには、いくつかのコツがあります。
●貼る前に汗や汚れをしっかり拭き取る
●湿布の四隅をハサミで丸くカットして、衣服との摩擦を減らす
●動く場所に貼る場合は、湿布の真ん中に切れ目を入れる
●適度に伸ばしながら貼る
参照:一般社団法人松本薬剤師会│今月のくすり問答
一人で湿布を背中などに貼りたいときは、専用の補助具を使うか、湿布を床に置いて寝転んで貼るという方法もあります。
打撲ではなく骨折や捻挫かも?受診を検討する目安
打撲は時間とともに自然に落ち着くことが多いと言われていますが、「ただの打ち身だろう」と自己判断で放置すると、回復が遅れたり症状がひどくなったりするケースもあります。
整形外科などの受診を検討する目安として、以下のような症状があります。
●時間が経つにつれて痛みや腫れがひどくなる
●触ったり押したりすると強い痛みがある
●しびれや変形などの症状がある
●打撲した後にほかの気になる症状が出てきた
痛みの強さや腫れの変化など、体の状態をよく観察して受診を検討しましょう。
すぐ受診するべき症状
次のような症状がある場合は、目に見える腫れや傷がなくても、命に関わる大変な状態になっている可能性があります。
●頭を打って、耳や鼻、口から液体が出ている
●胸を打って、呼吸が苦しく感じる
●けいれんや吐き気、嘔吐、息苦しさがある
●意識がはっきりしない、手足が動かなくなった
●お腹が異常に硬くなっている
「打撲しただけだから」と自己判断で様子を見続けず、速やかに医療機関に受診を相談してください。
打撲(打ち身)で湿布を使うときによくある質問
ここでは、打撲(打ち身)で湿布を使うときによくある質問と回答をまとめます。
骨折かも!すぐに整形外科に行くべきケースは?
次のような症状がある場合は、骨折などの可能性もあるため、整形外科での受診を検討しましょう。
●時間が経つにつれて痛みや腫れがひどくなる
●触ったり押したりすると強い痛みがある
●しびれや変形などの症状がある
●打撲した後にほかの気になる症状が出てきた
痛みで日常生活に支障が出ている場合や、症状の程度が判断しにくい場合も、整形外科で確認してもらうと安心です。
特に、お年寄りや子供など、痛みをうまく伝えにくい場合は早めの受診を検討しましょう。
打撲の湿布は温感と冷感のどっちを選ぶべき?
ぶつけた直後で腫れや熱があるときは「冷感タイプ」、症状が落ち着いてきたら「温感タイプ」に切り替えるのが一般的です。
注意したいのは、冷感タイプの湿布では「実際に体の温度を下げる効果」が期待できない点です。
しっかり冷やしたいときは、冷感タイプの湿布を貼るのではなく、氷のうやビニール袋に入れた氷を薄いタオルの上から当ててください。
湿布には、冷感・温感のどちらでもないタイプや、痛みに働きかける成分を含むタイプもあります。症状の状態や使い心地を踏まえて選ぶようにしましょう。
湿布でヒリヒリするのは効いてる証拠?
「湿布のヒリヒリは薬が効いてる証拠」と考えて我慢する人がいますが、これには注意が必要です。
湿布でヒリヒリとした刺激を感じるときは、成分や粘着剤が肌に合っていない場合があり、そのまま貼り続けるとかぶれなどのトラブルにつながることもあります。
強いかゆみや肌の痛みがあるときは、無理に使い続けず、早めに湿布を外してください。
参照:一般社団法人宮崎県薬剤師会│冷湿布と温湿布について
傷口が近い場所への湿布の貼り方は?
ぶつけた所にすり傷や切り傷があるとき、その場所に湿布を貼ることは避けましょう。
傷口を覆うように湿布を貼ってしまうと、次のようなトラブルが起きる可能性があります。
●痛みやかぶれ
●傷の治りが遅くなる
●はがすときに傷を広げる
打撲による傷が深く、腫れもひどい場合は、早めに外科や整形外科を受診して適切な処置を受けてください。
打撲の湿布はいつまで貼るのがいい?
多くの市販の湿布のパッケージには、「◯日間使用しても症状がよくならない場合は、使用を中止して医師や薬剤師に相談すること」といった注意が書かれています。
痛みが長引く場合は、骨折や捻挫など別のケガが隠れている可能性があるため、医療機関の受診を検討しましょう。
湿布を必要以上に長く貼り続けると、薬の成分や粘着剤で肌が刺激され、かぶれや肌荒れにつながるというリスクもあります。
「1日◯回」などの使用方法を確認し、記載された用法・用量を守ることが大切です。
打撲に湿布を貼って悪化することはある?
湿布は便利なアイテムですが、使い方やタイミングを誤ると、かえって症状が悪化したり別のトラブルを招く場合があります。
特に注意したいのは、次のようなケースです。
●冷感タイプの湿布を貼ってひんやりとした感覚があっても、実際に体の温度を下げているわけではありません。十分に冷却するためには、氷のうなどを使用する必要があります。
●氷で直接冷やしすぎると、凍傷になるリスクがあります。薄いタオルなどの上から15〜20分ほど冷やし、10分ほど休んで再び冷やすのを繰り返すようにしましょう。
●熱を持って腫れているときは、温めるよりも冷却することが大切です。温感タイプの湿布を貼ると、症状をひどくさせてしまうことがあります。
●ヒリヒリするのを「効いている」と誤解して貼り続けると、皮膚のトラブルにつながる場合があります。
湿布は自分の状態や使用するタイミングを意識しながら、適切に使うことが大切です。
まとめ
打撲(打ち身)は日常でよくあるケガですが、応急処置と湿布の選び方で、その後の過ごしやすさが大きく変わります。
●まずは応急処置(RICE処置等)を徹底する
●症状や時期に合わせて湿布を使い分ける
●肌のかぶれやかゆみに注意する
●迷ったら整形外科などに相談する
「ただの打ち身だから」と我慢しすぎず、「痛みがどんどん強くなる」「しびれがある」といったときは、早めに病院を受診してください。
適切なケアを心がけて、快適な毎日を取り戻しましょう。
監修
| あなぶきヘルスケア
事業部長 喜田 康生 |
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| 平成17年にプランドゥ穴吹に入社。その後、地域の医療介護検索サイト「病院・介護ナビmilmil」を立ち上げ、サイト営業で多数の病院、クリニック、介護施設などを訪問。
現在はあなぶきヘルスケアにて、広告コンサルティングを通じ、ブランディングなど幅広い視点から医療介護業界をサポート。 |
