記事作成日:2022年5月6日

ついに始まった不妊治療の保険適用化!条件について徹底解説

この度、2022年4月から不妊治療の保険適用化が決まりました。これまで不妊治療は保健適応外だったため、なかなか不妊治療に踏み切れないという方も多かったでしょう。しかし、不妊治療の保険適用化により、多くの方が積極的に不妊治療に取り組めるようになりました。

そこで今回は、不妊治療の保険適用について詳しく紹介しましょう。
これから不妊治療を始めようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

不妊治療にかかる費用が保険適用に!

今回の不妊治療の保険適用化によるポイントは以下の3つです。

1.体外受精などの基本治療は全て保険適用
2.年齢・回数の要件(体外受精)は助成金と同じ条件で受けられる
3.窓口での負担額が治療費の原則3割となる

これまでも不妊の原因が明らかな場合とタイミング法に関しては保険が適用されていました。今回の改定では、以前まで自己負担となっていた「人工授精・体外受精・顕微授精」も保険が適用されます。

経済的な理由で不妊治療を受けるかどうか悩んでいた人はもちろん、今治療中の人にとっても負担が減るのは嬉しいですよね。日本の少子化対策において一石を投じる取り決めではないでしょうか。
  

【メモ】不妊治療によって生まれる赤ちゃんの割合

日本産科婦人科学会のデータのよると、2019年に生まれた赤ちゃんは86万5239人。その中で体外受精によって生まれた赤ちゃんは6万598人と、約14.3人に1人の割合で不妊治療を行っているのが分かります。不妊治療の保険適用化で、これからさらに増えるかもしれませんね。

不妊治療にかかる費用は?保険適用でどうなる?

不妊治療の手法を見ていきましょう。不妊治療にはタイミング法、人工授精、体外受精、顕微授精があります。

不妊治療のそれぞれの費用は、厚生労働省が公表した「不妊治療の実態に関する調査研究」(2020年度)などの資料を元にすると、以下の通り。

タイミング法:約2~3千円
人工授精:約2~3万円
体外受精:約40~50万円
顕微授精:約40~50万円

これらの不妊治療の費用は、タイミング法以外はこれまで全額自己負担でした。これからは保険適用により3割が自己負担となります。
  

不妊治療で保険適用となる条件とは?



保険適用の診察となった場合も、これまでの助成金と同様にいくつかの制限があります。
  

■年齢制限

・治療開始時において女性側の年齢が43歳未満であること。
  

■適用回数

・初めての治療開始時点の女性の年齢が40歳未満の場合は1子ごとに通算6回まで。
・初めての治療開示時点の女性の年齢が40歳以上43歳未満の場合は1子ごとに通算3回まで。
  

不妊治療で保険適用の対象となる治療法

不妊治療で保険適用となる治療法は主に4パターン。これらの4パターンの治療法は、一般不妊治療と生殖補助医療に分かれていて、基本的には一般不妊治療から順番に行われていくのが定番となっています。不妊治療の方法についてそれぞれ解説していきます。
  

■タイミング法

一般不妊治療。タイミング法は妊娠がしやすい排卵日を医師が指導し、最適な日時に性交渉を持つようにするのが特徴。自身で基礎体温を記録することや排卵検査薬を用いて独断で妊娠しやすい時期を判断することとは異なります。これまでも保険適用の対象でしたが、引き続き保険適用がされます。
  

■人工授精

一般不妊治療。排卵の時期に合わせて子宮の入り口から管を入れて精液を子宮内へ直接注入する人工授精。AIH(Artificial Insemination of Husband)の略語で呼ばれることも多く、タイミング療法の次のステップで行う治療法として用いられます。これまでは健康保険適用外でしたが、新たに保険適用されます。
  

■体外受精

生殖補助医療。採卵手術により取り出した卵子を体外で精子と受精させる体外受精。受精が正常に起こると細胞分裂を繰り返します。発育した良好胚を体内に移植すると妊娠率が高くなることから、一般的に2~5日間経過した体外培養後胚を選んで膣から子宮内に胚移植する方法です。
  

■顕微授精

生殖補助医療。1個の精子を細いガラス針の先端に入れて卵子に顕微鏡で確認しながら直接注入する手法。この顕微授精以前の生殖補助医療は体外受精が主流でしたが、昨今では新しいタイプの体外受精として定着しつつあるのが特徴。一般的には顕微授精の方が体外受精よりも受精率は高くなります。
  

これまでの不妊治療助成金はもらえない?



不妊治療では、これまでは特定不妊治療費助成制度というものがありました。2021年度に関しては「特定不妊治療費助成制度」が拡充され、2021年1月1日に以降に終了した治療から適用されています。その後、この助成金制度は2022年4月より保険診察の導入により変化をしていきます。それぞれを見比べていきましょう。
  

■特定不妊治療費助成制度(拡充前)

①法律上の婚姻をしている夫婦のみが制度の対象
②所得制限は730万円未満(夫婦合算の所得)
③1回15万円(初回のみ30万円支給)凍結胚移植(採卵を伴わないもの)等については1回7.5万円。
 ※男性不妊治療を行った場合は加えて1回15万(初回のみ30万円)
④助成回数は生涯で通算6回まで(40歳以上43歳未満は3回)
⑤対象年齢は妻の年齢が43歳未満
  

■特定不妊治療費助成制度(拡充後)

①事実婚でも制度の対象
②所得制限は撤廃
③1回30万円。凍結胚移植(採卵を伴わないもの)等については1回10万円。また、男性不妊治療を行った場合は加えて1回30万円。
④助成回数は1子ごと6回まで(40歳以上43歳未満は3回)
⑤対象年齢は妻の年齢が43歳未満
  

■保険診察の導入後

保険診察の対象者が3割自己負担

それぞれをご覧いただいてわかる通り、年齢・回数の要件(体外受精)は助成金と保険診察後を比べると同じです。費用に関しては保険適用により窓口での負担額が3割となります。助成制度が後払いであったことからも、今回の保険診察の適用は多くの不妊治療患者にとってはありがたい仕組みだと言えるでしょう。
  

まとめ

2022年4月から始まる不妊治療の保険適用化についての概要をお伝えをしてきました。大きくまとめますと、下記の通りになります。

・体外受精などの基本治療は全て保険適用
・年齢・回数の要件(体外受精)は助成金と同じ条件で受けられる
・窓口での負担額が治療費の原則3割となる


これまでの不妊治療は2021年度までは助成金の制度がありましたが、助成金は後払いでもあり、多くの人にとっては金銭面での負担が大きくやや敷居が高いものでした。しかし、今回の不妊治療の保険適用化によって3割負担に変化。多くの高齢出産希望者の方は、出産の際の費用の心配が緩和されることでしょう。

日本社会では子どもを授かる機会を逃したまま、歳を重ねて出産に関して迷われていた方も多いはず。高齢での不妊治療は費用も多くかかることから、「自分には出産は難しいかも」と思われていた方にとっては、今回の不妊治療の保険適用化は嬉しいニュースといえるでしょう。
  

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監修

あなぶきヘルスケア
事業部長  喜田 康生

平成17年にプランドゥ穴吹に入社。その後、地域の医療介護検索サイト「病院・介護ナビmilmil」を立ち上げ、サイト営業で多数の病院、クリニック、介護施設などを訪問。現在はあなぶきヘルスケアにて、広告コンサルティングを通じ、ブランディングなど幅広い視点から医療介護業界をサポート。


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